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「みんなよくある“うるさいジジイ“になっちゃうんです」

F:今はLPL(ラージ・プロジェクト・リーダー)としてクルマ全体を統括するお立場ですが、今でも特にインパネ周りに関しては厳しく見られることは有りませんか。「俺がやっていたころは、こんなヌルいデザインを持ってこなかったぞ」とか(笑)

:ありますね。それはやっぱりいまだに有りますよ。ウチの会社でLPLになる人って、出身母体がいろいろ違うんですが、だいたい出身母体に対しては厳しめの、辛めの評価をしがちですね。みんなよくある“うるさいジジイ“になっちゃうんですよ(笑)

F:確かに新しいフリードは、インパネの質感が非常に良いですものね。

:良いでしょう。特にこの木目のところが良いでしょう。専門家ではない一般ユーザーの方でも「変わったな」とひと目で感じていただけると思います。

フリード+のインパネ
フリード+のインパネ

 この木目は、プラスチックに樹脂ベースのフィルムを張り込んで表現しています。木には当然木目がありますし、本来はデコボコしているものですよね。これは木の中で水が通る“導管”というやつなんですが、その導管まで表現しているんですよ、今回の木目は。

F:はー。そこまで……。

:かつ、木は光が当たった部分が反射してキラキラ光る性質があります。そこも人工パールのようなキラキラ物質をまぶしてフィルムに焼き付けて、本物の木の感じが出るような処理をしています。徹底してやっています。

F:すごいマニアック……。ですが申し訳ありません。そこまではまったく気が付きませんでした。「あー木目調のインパネなのね」、というくらいにしか見ていませんでした。

:そうですか……。でもまあ質感を感じて頂ければ充分です(苦笑)

F:フリードの走りに関して伺います。特に気を付けて開発されたポイントは有りますか?

:私がこのクルマの開発責任者になってすぐの時、機能を開発するグループの人間が「田辺さん、どんなクルマにしたいですか」と聞いてきたので、「とにかく真っすぐ走るクルマにしてくれ」、と。

F:真っすぐ走るクルマ、ですか。

:そう。真っ直ぐ走るクルマとお願いしました。

 それはどういうことか。クルマって、いいかげんに造ると、真っすぐ走らないんですよ。走っている内にだんだん右にズレちゃうとか、外乱(所定の動作の妨害となる信号)が入るとそれをキッカケに曲がってしまうとか、風が吹くとフラフラしちゃうとか。

 そういう不確定要素がいっぱいあるので、直進安定性というのは非常に大事なんですね。特にミニバンは側面の面積が広く風を受けやすい形をしている上に、腰高の位置に人が座るので、もともとフワフワした感じになりやすいんです。

F:乗員の頭部が高い位置に来るから、同じ揺れでも大きく感じてしまう。

:そうです。私、このフリードを担当する前はオデッセイをやっていました。オデッセイは御存知の通り、ミニバンでも“走り”を標榜した位置付けのクルマでした。特に背の低いタイプになったときは、ステーションワゴンと同じくらいの走りで、世の中から「レガシィかオデッセイか」と言われるぐらいの時代があったんです。