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 いまも昔も変わらないGT-Rの“原点”は、「究極のドライビングプレジャーの追求」にある。より快適に、そしてより速く。相反する要素である、「快適な乗り心地」と「圧倒的な速さ」を両立させるにはどうしたら良いのか。田村氏は何を目指し、どのように2017年モデルを磨き込んでいったのか。シツコク食い下がって伺ってきた。

「点から線へ、そして面へ」

 2007年の鮮烈なデビュー以来、R35のGT-Rは「イヤーモデル」と称して、年次改良を重ねてきた。が、実は2016年は、その伝統の年次改良が施されなかった。無論その間、エンジニア陣が開発をサボって昼寝していた訳では無い。空白の1年間は、言うなればジャンプアップのための助走期間で、貯めに貯めたエネルギーを、イッキに開放したのが2017年モデルのGT-Rということだ。

 当然速い。ものすごく速い。しかも乗り心地が良い。コレがホントにアレですか?と運転席周りを眺め直す程に良い。何をどのようにしたら、このような仕上がりになるのだろう。この2年で、GT-Rは具体的にどう進化したのだろう。さあさあ田村さん。オモロイ話をタップリお願いしますよ。

 が、「出鼻を挫かれる」とはこういうことを言うのだろう。田村さんは海外との急なテレカン(電話会議)が入り、インタビューに30分ほど遅刻すると言う。

第一商品企画部 柳井さん(以下、柳):ということで本当に申し訳ありません。前座ではありませんが、田村が参るまで、不肖柳井がお話しさせて頂きます。

F:了解です。柳井さん、よろしくお願いします。自分が試乗させて頂いて感じたのは、ともかく「乗り心地が良くなった」ということです。もう工事の段差でも首都高の継ぎ目でも何のストレスもなく乗り越えていける。まるで“普通のクルマ”のように、一般道でも構えずに運転できる。

:ありがとうございます。R35のGTゾーン。グランドツーリングとして快適な部分を極めていくに当たり、我々は「点から線へ、そして面へ」という言い方をしています。

 今まで我々は、お客様に対して、サーキットタイムがどれくらいだとか、最高速がナンボだとか、馬力がこんなに出ていますよとか、数字情報ばかりをアピールしてきたんです。でもやっぱり、これからのGT-Rは数字ばかりではないよねと。例えばこれ、(PCの画面を指しながら)ニュルブルクリンクでのラップタイムレコードなのですが。

F:上がっていますね。どんどん速くなり進化しているのが一目瞭然です。すごい。

:確かに上がっています。間違いなく速くなっている。でもこういうのは、やっぱり“点”なんです。タイムであるとか馬力であるとか、それはひとつの点に過ぎないんです。

 そこに至るまでには、どういうパワーの出し方、トルクの出し方をしているのか。その結果として、ドライブフィーリングはどうなったのか。こういうことをもっとキチンとマネジメントしていかなければいけないよねと。

F:それが点から線、ということですか。

:はい。一番端的な例がトルクカーブのマネジメントです。どういうトルクの出し方をさせるのか。その結果、どういう加速が実現されるのか。

 最新のGT-Rは基準車でも最高出力は570馬力です。これは先ほど申し上げた「点」なのですが、570馬力を出すまでに至るパワートルクの出方を、どうマネジメントしていくのか。「線」をマネジメントするという表現で社内には説明しています。

F:なるほど。点に至るための線。