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「もしかしたら我々の独り善がりだったのではないか」

:何となくお金に余裕ができて、生活にゆとりがあって、子供も独立して、でも体力は落ちてきて……。いろいろなことを考え合わせたときに、何もガチガチに固めた、バカッ速のクルマじゃなくても良いよねと。

 決してクルマが中心の人生じゃない。他にも楽しくて集中できることがたくさんあって、例えばほら、フェルディナント・ヤマグチみたいな奴さ。クルマも好きだけどトライアスロンにも燃えていて、仕事も……あなたがちゃんとやってるかどうか分からないけど……キッチリやっていて、もちろん女の子も好きで(笑)

F:仕事はちゃんとやってます!女の子は……そりゃまあ嫌いじゃないです(笑)

:そんなフェルみたいなヤツがさ、ガチガチのクルマのヨコに女の子を乗せられる?彼女とどこかドライブに行くのに、これがもうちょっとソフィスティケートされた足だったらな、という思いが有るでしょう。それがマチャアースペックの根幹なんだ。ガチガチの足回り。スパルタンな乗り心地が絶対だというのは、開発陣の思い込みで、もしかしたら我々の独り善がりだったのではないかと。

F:それを30代の田村さんが気付かれたと。

:うん。30代も終わりのころ。39歳だったね。

F:どうして30代の頃の田村さんがそのような考えに至ったのですか。30代の人間が、55歳のオッサンの気持ちなんて考えるものでしょうか。30代の終わりの頃なんて、仕事の仕方も分かってきて、会社の仕組みも理解できて、社会人として一番勢いが付く生意気盛りの時期じゃないですか。ともすれば、「使えないジジイはさっさと引退しろ」とか本気で思っちゃう頃でしょう。

 どうしてそのような考えに至ったのですか。その頃に何か心が折れるようなことが……例えば大きな病気をされたとか……なにか田村さんの身の回りで大きな出来事があったのですか?

:聞くねぇ。そんなことまで聞くの(苦笑)

F:今日は何でも答えてくださると仰いました(笑)