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「SUVってイジれる箇所が多いんです」

:実際にハリアーを買うんだったらカネを貸してやるぞ、という親は多かったそうなんです。当時(笑)。

F:スポーツカーを買いたいと言ったら、「それなら自分で買え」と(笑)。

:そうそう(笑)。それともうひとつ。これはエンジニアとしての私見です。セダンとかスポーツカーって、ある程度ディメンションが決められているんですよ。全高はだいたいここ。全長の大きい小さいは有りますが、クラスが決まればおおよその数字は決まってくる。デザイン面で見ると、自由度が低いんです。

F:セダンやスポーカーはデザイン的な自由度が低い。狭い中で工夫しなくちゃいけない、と。

:そうです。狭い中でいろいろやらなきゃいけない。ところがSUVは高さからして自由に決められる。パッケージングで言うと、全高の選び方、全長の選び方。何というんですかね、デザイン的にいじれる所が多い。全高をいじれるというのはクルマをデザインする側からすると、うんと自由度が広がるんです。

 タイヤの大きさも千差万別。大きいのでも小さいのでも選び放題です。更にリア周りにスポイラーを付けるとか、バックアングルを立てようとか寝かせようとか、ユーティリティーを犠牲にしてパッセンジャー向けのキャビンスペースに充てようとか、逆に少しキャビンを狭くして荷室をたくさん取ろうとか、荷室の高さを高くしようとか、倒したら掃き出しにしようとか、掃き出しをやめようとか。

F:なるほどなるほど。セダンと比べるとデザインの自由度が高いから、エンジニアも腕の振るい甲斐がある、と。

:セダンがまったくないとは言いませんよ。セダンだっていろいろな工夫して僕らはやっています。ですがSUVってそれ以上に、イジれる箇所が多いんです。お客さんがどういうクルマを求めているか。僕らはその要望に対してどう応えていけるか。各社、各ブランドが、どういうコンセプトでどういうお客さんにアプローチしていくか、しのぎを削る訳です。

F:良いですね。いいお話です。

:どのメーカーさんを見ても、バッジだけが違って、これはBMW、これはアウディ、こっちはメルセデス。何だかどれも同じに見えるじゃん。ソックリじゃん……という世界には決してならないんです。SUVは。

F:確かに、確かに。

:だからお客さんから見ると楽しいと思うんですよ。さっきのフェルさんの、どうしてみんなSUVをやるのか、という質問なのですが、メルセデスのSUVはこんな感じ。アウディはこう来たか。ウチだったらどうしよう……という世界が、今始まったのではないかと思うんですよね。

F:なるほど。なんか儲かりそうだかウチもやってみっぺか、という話ではないのですね(笑)。

:いやぁ……(笑)。

 世界中のメーカーが我も我もと参入するSUV市場。その裏側には、エンジニア心をくすぐる「デザインの自由度」があったのだ。
 加藤さんのインタビューは次号へ続きます。