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──人員削減に関して、どのような問題に直面する日系企業が多いのですか。

前川氏:人員削減の正しい進め方を知らないのに強引に進め、中国人従業員からストライキを起こされて、結果的に人員削減が首尾よくできないという問題です。こうなってしまうと、その後は残業を減らすことなどで中国人従業員が自発的に辞めることを待つくらいしか方法が残りません。しかし、これでは余剰人員を抱えたまま、一定期間中国拠点を経営していかなければなりません。

 中国では従業員の権利意識が高まっています。背景には、2008年に施行された労働契約法があります。これはリーマン・ショック前に制定された労働者を保護する法律です。経営側には厳しい法律で、従業員を簡単に辞めさせることができなくなりました。この法律を守った上で人員削減を進めるには、面倒な「作法」と中国人従業員の感情、地域経済への影響を考慮する必要があります。しかしここで、例えば「従業員の削減で雇用は減りますが、生産効率が高まるので法人税を多く払うことで地域経済に貢献できます」といった説明をうまくできる日本人駐在員が中国拠点にはいないのです。

 10年前は人件費が安かったため、中国人従業員ともめて大変になったときには、少し多めに賃金を払うことで解決することができました。しかし、今では日系企業の賃金が、その他の外資系企業と比べて高いわけではありません。むしろ、権利意識を高めた中国人従業員は経営側に対して好き勝手に主張するようになっています。