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ソフトを使って効率的な公差設計

──公差設計の重要性は分かりました。でも、顧客ニーズの多様化や製品寿命の短縮化により、設計者は忙しくなる一方です。

栗山晃治氏:以降は私(栗山晃治)の方でお話します。もちろん、その点はよく理解しています。そこで、私たちは公差設計を効率的にこなせる「Excelベースの公差計算ソフトウエア(以下、Excelベースソフト)」を2007年に開発しました。「技術者塾」の講座では、多忙な設計者に「効率化」という武器を提供すべく、このExcelベースソフトを使った演習を行います。従来の講座で行ってきた手計算は非常に重要なものですが、手計算をマスターされた方であれば、そのままExcelベースソフトを自在に扱うことができます。

 設計の競争力を高めるには、限られた設計工数の中でいかに効率よく公差設計を行うかが大切になります。私は、日本で市販されている米国製のあらゆる3次元公差解析ソフトを使って設計現場で支援をしてきました。モンテカルロシミュレーション(ばらつき状態をアニメーションで確認できる)などを使ってガタ・レバー比の計算ができる非常に優れたものです。でも、その解析には膨大な設定工数がかかることと、1ライセンス当たりの費用が高額であることから、個々の設計者というよりは、生産技術部門やCAE解析部門などに所属する公差解析専任者が利用するケースに限られています。

 そこで、私たちは一般の設計者でも使いやすいソフトを開発することにこだわりました。Excelベースソフトは、長年の実践指導で積み上げた公差計算のノウハウを投入したものです。70社以上の指導で1000テーマを超える難しい公差計算を解決してきた結果を反映させました。このExcelベースソフトを使って3つの演習事例を行います。まず、[1]液晶パネルモデル。ここで公差計算の基本を学びます。次に、[2]機械装置モデルで、少し高度な計算を学びます。そして最後に、[3]切り替え機構モデルで、ガタとレバー比、および幾何公差も含めた高度な公差計算を学びます。ここで公差設計と幾何公差の複合演習により、相乗効果を体感することができます。

 でも、実はこのExcelベースソフトを効率でしのぐ公差解析ソフトの紹介も行います。

──それはどのようなソフトなのですか。

栗山晃治氏:公差設計研究所が開発した、日本製の3次元公差解析ソフト「TOLERANCE JAPAN(TOL J、トールジェイ)」です。3次元CADの中にある数値情報を使って公差計算ができるため、より一層の効率化を図ることができます。設計者向けに特化し、最も困難であった設定のスピードは1/5~1/10、費用面でも大きなメリットがあります。

 Excelベースソフトでは、寸法も公差もレバー比も全て人の手で入力しなければなりません。これに対し、この公差解析ソフトでは、設計者が数値情報を選択するだけで、自動的に公差計算ができます。例えば、寸法や公差、幾何公差の情報を指定すると、公差計算の結果が自動的に算出されるのです。解析後には、ガタ・レバー比や幾何公差の要素が明確に把握でき、検図という視点でも有効に活用することができます。設計者がTOL Jを使って解析を行い、それを解析専任者(従来の3次元公差解析ソフト利用)に伝えることで情報共有が十分にでき、相乗効果が得られます。

 公差計算の種類としては、シグマ計算やルート計算の他、個々の企業のノウハウに合わせた計算も可能です。つまり、カスタマイズに対応できるのが特徴の1つです。この3次元解析ソフトを使えば公差設計がどれくらい効率化できるかを知ってもらえたらと考えています。