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規制が特に厳しかった米国

──しかし、日本メーカーは今もディーゼル車を開発していますよね?

藤村氏:日本メーカーの主戦場は新興国と欧州です。なぜ販売できるかと言えば、新興国では先進国と比較して排出ガス規制が緩く、欧州は先進国の中でも米国や日本に比べてNOxの排出ガス規制値がそれほど厳しくなかったいう理由が挙げられます。

 NOxとPMの規制強化に関する米国、欧州、日本の流れはこうです。1997年以前はNOxを見ると欧州はかなり楽でした。日本が最も厳しく、米国がその中間だった。これが、2009年ぐらいから米国で世界一NOxが厳しくなり、日本がこれに続いた。全体的に厳しくなる中で、欧州は米国と日本に比べれば楽な規制値となっていました。ただし、2014年以降は米国も日本も欧州も同じぐらいの水準まで厳しくなりました。

 一方、PMを見ると1997年以前は規制値の差が大きく、米国が最も厳しくて日本が最も楽で、欧州はその間にありました。当時、日本のPM規制強化は少し遅れていました。その後、2009年以降は米国も日本も欧州も同じぐらいの水準まで厳しくなりました。

 つまり、欧州はNOx規制よりもPM規制に重きを置いてきた経緯があるのです。

 こうしたNOxとPMの規制に加えて、走行モードの違いもあります。日本はJC08モード、欧州はECモード、米国はLA-4モードです。LA-4モードはコールドスタートからの加速も入っていて、最も厳しい走行モードとなっています。ECモード、JC08モードにもコールドモードがありますが、LA-4モードほど厳しくはありません。

 このような状況から、近い将来各国の走行モードを統一化し、国際標準走行モードを作る話が進んでいますが、現時点では米国が最も厳しく、次が欧州、そして日本です。ただし、欧州と日本の差はそれほど大きくはなく、日本の方が少し楽かなという程度です。

 少しまとめてみますと、VW社が不正を始めたと言われている2009年当時、PMの規制は米国、欧州、日本であまり変わりませんが、NOxの規制に関しては米国が非常に厳しかった。また、米国では走行モードが厳しいため、排出ガスが多く出る。さらには、燃料性状も良くない。そのため、並大抵のことではディーゼル車の排出ガス規制を通すことができないという状況でした。これは、三元触媒システムが使えるガソリン車との大きな違いです。