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米国で台数を稼ぎたかった?

──エンジンを開発している人は、米国では走行モードも排出ガス規制も厳しく、排出ガス規制をクリアすることがものすごく難しいということを当然知っていますよね?

藤村氏:もちろんです。エンジンの開発者なら間違いなく知っています。

──米国でディーゼル車があまり売れないのは、厳しい規制によってディーゼル車を排除したいという思惑があるのですか?

藤村氏:ディーゼル車を排除するという意図はないと思います。米国は原油価格が安いため、排気量の大きなガソリン車を好む傾向があります。原油価格が上がると小型のガソリン車が売れるようになりますが、ディーゼル車を選ぶことは少ない。これは、排出ガス規制対応でディーゼル車の価格が高くなるからです。従って、燃費を重視して価格の高いディーゼル車を買うよりも、価格の安いガソリン車を買う米国人が多いということです。というわけで、原油価格が上がると少し小さいガソリン車にシフトしていくけれども、ディーゼル車まではいかないのです。

──では、それほどディーゼル車に厳しい米国で、VW社はなぜディーゼル車を売ろうとしたのでしょうか。

藤村氏:1つの理由は、将来的に米国で販売台数を少しでも多く確保したかったからでしょう。米国では日本車は大量に売れているのに、ドイツ車は米国ではそれほど多く売れていません。VW社が販売台数を欧州以外のどこで稼ごうとしたかといえば、米国と中国です。

 走行モード、排出ガス規制、燃料の品質の全ての条件が厳しい米国で日本メーカーがディーゼル車の販売から撤退する中、ドイツメーカーは台数は少ないもののディーゼル車を販売してきました。その理由は、将来への布石としての市場実験の意味合いもあると思います。市場で評価をしてみたい。新しい排出ガス浄化システムをいきなり大量に世の中に出すわけにはいかない。しかし、少しでも台数が出ていれば、それが市場に適合しているか否かを判断できる。