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──そのコストバランス法とは、どのようなものなのでしょうか。

國井氏:まず、製品を機能別の部品に分解します。その上で横軸に質量を、縦軸にコストをとったグラフ上に、部品ごとにプロットしていきます。続いて、これらのプロットの近似式(直線)を描きます。Excelを使えば簡単です。中学生でもできますよ。この近似式は、全てのプロットに対して統計的に距離が近い直線で、コストのバランス軸、もしくはコストの重心と呼べるものです。コマにたとえると回転軸のイメージとなります。

 このようにして、次にモーメントを考えます。モーメントとは、次の式で表せるものです。

モーメント=「原点からの距離(L1)」×「近似式からの距離(L2)」

 モーメントは正と負があり、近似式よりも上にあるプロットのモーメントは正、近似式より下にあるプロットのモーメントは負になります。このうち、対策を打つべきものはモーメントの絶対値が大きな部品です。

 注意して欲しいのは、正のモーメントはコストを優先的に下げる部品群であり、負のモーメントは質量を優先的に下げる部品群のことです。例えば、質量を優先的に下げるべき部品のコスト削減を考えてはいけません。驚きませんか?

 こうしてモーメントの絶対値が大きな部品のコストを近似式(回転軸)に近づける活動を行います。偏重心を回転軸に近づけて、コマが安定して回るようにするのです。これにより、コストパフォーマンスの最適値が図れるというわけです。びっくりしませんか?

 仮に、部品点数が10、すなわちプロットが10個ある場合はモーメントの絶対値が大きな部品を上から2~3点選んでコスト削減活動を行えばよいと思います。全ての部品を対象にコスト削減活動を行うと大変ですが、コストバランス法を使えば優先順位まで見えるというわけです。このようにして、低コスト設計のために、コスト削減の対象とすべき部品を指名し、優先順位まで示してくれる点が、コストバランス法の大きな利点です。コストパフォーマンスの最適値の「見える化」の意味が分かってもらえると思います。見える化により、思いつきや気合い、直感を徹底的に排除できるのです。