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世界で勝つための条件

──欧米企業に追いつき、追い越すためには何が必要でしょうか。

若林氏:製品の軽量化をこれまで以上に進めたいなら、設計者や生産技術者であれば、やはり、接着技術の基礎を押さえておかなければなりません。接着技術の基礎を一通り勉強しておかなければ、実用に耐え得る軽量化設計に取り組むことすらできません。

 まず、自分が設計するものに対してふさわしい接着剤の選び方を知らなければなりません。そのためには、金属や樹脂など接合する材料の性質も知っておく必要があります。こうして材料と接着剤が決まったら、接着作業をどうするかについても知っておかなければ製品の組み付け品質や製造コストを保証することはできません。接着剤メーカーの知見を頼るにしても、何を聞いたらよいか分からないというのでは困ってしまいます。

 同時に、接着剤とはどうようなものかを分かっていないと接着設計ができません。接着設計とは、接合する材料同士をどのように繋ぐかを設計することです。先述の通り、接着剤は面積で接合強度を高めるため、面積をうまく確保することが大切になるのです。

──接着剤以外の日本企業の技術者で、接着技術を習得している人は少ないのでしょうか。

若林氏:正直に言って、少ないと思います。まず、大学の講座に接着技術に関するものがありません。接着技術は力学と化学の融合です。力学については機械科で、化学については高分子材料や界面化学などを化学科で学びます。ところが、両方を融合した接着技術講座はありません。そのため、接着工学的な基礎を学生時代に身に付ける機会がないのです。従って、多くは入社してから実務を通じて学ぶということになるのですが、先の通り、接着技術が軽視されてきたこともあって、接着技術の基礎を学ぶ機会はあまりないというのが現実です。上司や先輩に聞いても、「溶接でいいだろう」という言葉が返ってくる。

 ところが、最近になって欧州から軽い材料を大胆に使う軽量化設計が実用化され、異種材料接着の技術がそれを支えていることを知った。接着技術を軽視したままでは、早晩、既存の延長線上の軽量化設計は限界を迎える。何より世界の先端をいく軽量化設計には水を空けられる一方だということに気付いた。こうして、ようやく日本の製造業の中で接着技術に光が当たるようになったというのが本当のところです。

 設計者や生産技術者が、いざ部品をくっつける必要に迫られると、接合方法を考えなければなりません。そこで接着技術を知らなければ悩むことになります。そのままでは、適切な接合方法を選択できない可能性があります。

──最後に、若林先生が教える「技術者塾」の講座の受講効果を教えてください。

若林氏:「接着剤の正しい選び方と使いこなしのノウハウ」の講座では、接着技術を基礎から一通り学びます。これから勉強する人は、接着技術の門を叩いて入ることができるというイメージです。接着のメリットとデメリットを押さえており、接着設計の全てが分かるようになっています。例えば、表面処理がどうして必要かということも分かりますし、「接着って、こんなにいろいろなことができるんだ」と、物をつなぐことに関する視野が広がります。もう1つの「異種材料の接着と、接着設計&接着評価の考え方」の講座では、異種材料接着や構造接着を詳しく知りたい人が学べるプログラム構成になっています。

 私は全て、原理・原則と結びつけて話をしているつもりです。これにより、接着の「本質」を理解することができると自負しています。その分、応用が利くはずです。講座中はもちろん質問に答えますが、それだけではなく、受講した後にテキストを見て分からないことがあれば、できる限りメールでも相談に乗るように努めています。