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──ただ、製品の差異化は日本企業にとって生命線です。特に製品開発において重責を担う設計者は懸命になって追求しているのではないでしょうか。

鈴木氏:確かに、設計者は差異化について常に考えています。新製品の創造や新規事業の立ち上げも望んでいます。しかし現実は、より効率的に生産できる派生製品を設計しているケースが多いのです。

 よくあるのが、製品を世界展開する際に日本で設計し、世界の各市場向けには言語を切り替えるだけという対応です。世界の各市場に向けた製品の設計(ローカル設計)まで手が回らないのでしょう。事情は分かるのですが、これでは現地のニーズをうまくくみ取れた製品にすることは難しい。

 確かに、最近は海外に現地拠点を設けている日本企業もたくさんあります。そうした企業は本来、現地のニーズをくみ取ることはできるはずです。ところが、こうした現地拠点の多くは「分散開発」の拠点として使われているというのが実態です。分散開発とは、例えばプリンターの設計だとすると、組み込みソフトウエアを日本で、プリンタードライバーを米国で、画像処理などある機能に特化したものをインドで開発するといった具合に、世界の各地域で機能を分散して開発を進める方法です。

 つまり、ある一箇所の拠点(国)で全ての設計を行うことは少ない。プリンターは機能が高度・複雑化したり、使われ方が多様化したりと急速に進化していますが、分散開発ではそうした動きに対応しにくい。そのため、顧客からの要求分析や仕様の管理は日本の拠点で一元管理している企業がほとんどです。いずれにせよ、分散開発に基づいてローカル製品の設計に成功していると言える企業はごく一部です。