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──では、どのような要求分析を使えばよいのでしょうか。

鈴木氏:潜在的な顧客やユーザーからの声を聞くにもコツがあるのです。我々は「要求分析フレーム」と呼ぶ手法を開発しました。VOC調査を基にするのですが、顧客要求を整理する段階で独自のフレームワーク(検討シート)を使う点が特徴です。

 この要求分析フレームでは、ユーザーに対して単純に何がほしいのかを聞くのではなく、フレームワークを使ってより具体的に聞き出します。例えば、機能の面や使い勝手の面、効率的な面など、事前にさまざまな視点から項目出しを行います。これにより、「機能性」「信頼性」「使用性」「効率性」「保守性」「適用性」「安全性」…といった切り口で顧客要求を引き出していくのです。

 ここでは、できる限り漏れがないように聞き出します。漠然と聞くと、ユーザーの声は機能や信頼性の要求に偏ってしまう傾向があります。これは、ユーザーが使っている機能が限定されているから。これでは、新しい製品の設計の差異化につながり得る「本質的な顧客要求」をユーザーから吸い上げることができません。

 逆に言えば、本質的な顧客要求をうまく吸い上げることができないからこそ、競合企業の仕様や自社の都合で仕様を決めてしまう。これを避けるために、もっと多面的な視点から顧客要求を引き出せるように、フレームワークを使って聞き出すというわけです。

 先の通り、切り口を設けるだけではなく、より細かく具体化したり、今後の方向を確認したりすることもポイントです。例えば、「印刷画質の良さ」に関してユーザーに聞くとすれば、次により詳細な項目として「解像度」や「階調数」「印字精度」などについて質問を用意して具体的に調べていきます。さらに、それぞれの詳細項目について3年後や5年後を予想した質問を用意してユーザーの声を聞き出します。

 こうすれば、具体的な数字を出しながら「1000dpiだったら満足しますか?」などと聞くことができます。切り口を起点に、時間的な流れを考慮したり、より具体的な顧客要求を聞いたりすることができる。こうした、顧客要求を吸い上げるためのより詳しいVOC調査により、精度の高い顧客要求分析ができることが「要求分析フレーム」の利点です。