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──習得に関するニーズは、公差設計と幾何公差で同じ程度あるのですか?

栗山氏:現時点で言えば幾何公差の方が人気があります。これは幾何公差に対応した図面にすることが、今のグローバルの流れだと思われがちだからです。確かに、今後は幾何公差に対応した図面が「MUST(必須)」となるでしょう。既に欧州向けの図面は幾何公差が必須です。

 しかし、実はこうした幾何公差への偏重には問題が隠れています。幾何公差について学べば、確かにルール的に幾何公差を図面に反映させることができます。でも、それは単に図面に幾何公差を付けているだけ。幾何公差はきちんとした公差設計の基で行わないと意味をなさず、海外現地企業の生産現場が困るだけです。これまでの図面に幾何公差記号を付けただけでは、加工者・測定者からは「コストアップしますよ!」と言われるケースが多い。そのため、幾何公差化が全く進展しないという企業の悩みをよく聞きます。

 公差設計では、まず、公差計算を行って公差値を決めます。計算式はあるのですが、機械的に計算するだけでは不十分です。1つひとつの部品の公差値と、製品の機能を実現するための規格値のバランスを取りながら造り込むことが必要です。

 機能を果たすには公差値をどんどん小さくすればよい。しかし、それではコストが上がってしまう。そこで、コストをできる限り抑えながら、機能を果たす公差値を導き出す、また構造を工夫することで極力公差の指定箇所を少なくすることが設計者の腕の見せどころとなります。そして、こうして導き出した公差値を正しく表記するために必要となるのが、幾何公差なのです。

 従って、公差設計と幾何公差は両方とも習得することが大切です。公差計算をした結果を基に、真に大事な重点管理部分を幾何公差で明示すれば(どこを基準にどこをどれだけに管理したいか)公差の指定箇所も激減し、加工者・測定者からも喜ばれるはずです。それが、設計図面です。