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開発はオープンイノベーションの形に

──携帯電話の例は刺激的ですが、とても分かりやすい例えです。では、ここで改めてレベル4を開発するために学ばなければならないものを教えてください。

加藤氏:自動運転の開発には「認知」と「判断」、そして「操作」を実行するための技術が必要です。レベル2や、レベル2の延長線上のレベル3は、現在市場に出回っているセンサー(カメラやミリ波レーダーなど)やカーナビゲーションシステムの上に成り立っています。ところが、レベル4を実現するには、先述の通りLiDARや高精度地図といったアイテムを使いこなす必要があります。まずは、これらの技術について習得しなければなりません。

 その上で、物体の検出や自車の位置の推定に関する技術を学ぶ必要があります。レベル4では自動運転システムが複雑になるので、いろいろなコンポーネントを組み合わせることができるフレームワーク(基本ソフトウエア)が必要です。私たちは、その先行開発においてロボット分野発祥のソフトウエア技術である「ROS(Robot Operating System)」を選び、このROSと「Linux」をベースにした完全自動運転システム用オープンソースソフトウエア(完全自動運転ソフトウエア)「Autoware」を、完全自動運転の研究開発に使用しています。Autowareは、名古屋大学と長崎大学、産業技術総合研究所の共同研究の成果として、自動運転の研究開発向けに無償で公開されているものです。「技術者塾」の講座でも、このROSとAutowareを使います。

 レベル4以上の完全自動運転システムは、1社で開発できるシステムではありません。例えば、人工知能(AI)の開発は自動車メーカー単体ではまず無理でしょう。そのため、他社が創るものをいかに取り込むかが開発する上でのポイントとなります。これには基本ソフトウエアが必要なのです。

 Autowareが使っているROSでは、その上に他の企業や人が開発したAIや物体検出モジュール(ソフトウエア)、位置推定モジュール(ソフトウエア)などを載せることが可能です。こうして、1社で造るのではなく、オープンイノベーションの形になっていく。専門分野が異なる企業が集まって、1つのシステムを造り上げていくことが、完全自動運転の開発の姿です。