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「気付き力」が落ちている

──1つひとつの品質手法について本質を押さえつつ、場面に応じて最適なものを選んで使えるようになることが大切。しかし、それができていない、と。

皆川氏:私が心配に思っていることはまだあります。気付く力「気付き力」が落ちていることです。これは自動化が進んでいることが大きな原因の1つ。例えば、3次元CADを使った設計。多くの設計者が、例えば応力解析をする際に、3次元CADに組み込まれた解析ツールを使います。アイコンなどを押すだけで自動的に結果が出てしまう。

 解析ツールを使うなと言うつもりは全くありません。むしろ使わなければ、短納期や試作レスが求められる現在のものづくりの世界を生き残ることは困難でしょう。そうではなく、自動的に処理することに頼りすぎてしまうと、表層的な理解に留まってしまう危険性があるということです。新しい製品を設計したところ、応力集中が発生した。それに対して、上司や顧客から「なぜか?」と問われたときに答えられない技術者が増えつつあるのです。

 一人前の設計者であれば、解析する前に応力集中が発生しやすい形状であることに気付かなければなりません。「あれ? 何か変だぞ?」と。こうした「気付き力」が日本企業の技術者の中で弱っていると私は感じるのです。この点を改善するために、私は「気付きノート」を作ることを提案しています。小さなことで構わないので、日々の業務の中で何か問題だな、何かしっくりこないな、などと気付いたことを日々、そのノートに記していくのです。毎日訓練することで、技術者としての「気付き力」は徐々に向上していきます。