PR

有名なはずのPDCAサイクルを実務で使いこなせない企業があるのはなぜでしょうか。

皆川氏:分かりやすく、かつ具体的に学ぶ機会を持つ企業が少ないからだと思います。多くの企業が社員にPDCAサイクルについて記載された本を読むことを勧めます。本を開くと、確かにPDCAサイクルの説明が載っています。ところが、その説明はといえば「計画を立てましょう」「実行しましょう」「計画未達の部分をチェックしましょう」「足りないところを次のP(計画)に入れましょう」という程度で済ませているものが案外多い。逆に、「あるべき姿」を考えることや、「何を」「どれだけ」「いつまでに」という目標設定の仕方を具体的に記した本はほとんどありません。

 しかも、PDCAがあまりにも一般的な用語故に、知っているつもりになっている人が多い。結果、多くの社員が実はPDCAサイクルを回す具体的な進め方が分からないという状況になっているのだと思います。

 思いつきでなんとなく計画を立てて、気合いと根性で実行する。これでは「仕事にムラがある」「締め切り日までに実現できない」といった悩みを抱えることになるでしょう。

トヨタグループでは「QCストーリー」をどのように進めていくのですか。

皆川氏:まず、[1]問題の明確化(テーマの選定)からスタートします。ぼんやりとしている問題を明確にするのです。新QC七つ道具の中の「親和図法」を使って「あるべき姿」を整理します。みんなでどのような姿が良いと言えるかを議論し、親和図法により意見をまとめていくのです。続いて、「あるべき姿」を絞り込み、それに対して現状を書き出します。こうして両方を比較し、問題点を導き出します。

 次に、[2]現状の把握に進みます。ここでは「KPT(ケプト)」という手法を使って、現状を把握します。この手法は、良いところと問題点とトライ(挑戦すべき)を取り上げるものです。K:Keepは良い点で、P:Problemはできていない問題点です。そして、T:TryではKとPを比較することで何に挑戦すべきかを考えていきます。これにより、現状を事実ベースで確実につかみます。

 続いて、[3]目標設定。ここでは、「何を」「どれだけ」「いつまでに」の3つを明確に示します。できる限り定量化することも大切です。

 次に、[4]要因解析に進みます。ここでは、真の原因(真因)をつかむために、[2]現状の把握で取り上げた問題点をさらに深く調査します。「特性要因図」を使い、4M+1E(人、道具、材料、方法、環境)の各視点で考えられる要因を抽出していきます。その後、それらが正しい要因か否かを検証します。そのために、例えば現地/現物で調査することもあります。

 続いて、[5]方策立案。問題の原因(要因)を発生させないために、方策とその実行計画(アクションプラン)を立てます。対策案の検討を行い、それについて実行計画を組み立てるのです。この実行計画では、5W2H(誰が、何を、いつ、どこで、なぜ、どのように、費用は)を決めます。

 ここまでがP(計画)となります。P(計画)がいかに重要であるかが分かってもらえると思います。

 次に、[6]方策実行に進みます。ここからD(実行)の段階となります。実行計画に基づき、方策を確実に実行していきます。

 続いて、[7]効果確認。目標に対してどれくらい効果が上がったのかを把握します。効果が上がっていない場合は、もう一度[4]要因解析に戻って再度計画を立て直す必要があります。効果が上がり、目標を達成したら次に進みます。

 こうして進むのが、[8]標準化と管理の定着。方策を実施して得られた効果が、元の状態に戻ってしまわないようにします。具体的には、誰がやっても同じ効果が得られるように「標準化」を進めます。

 そして最後に、[9]反省と今後の対応に進みます。ここで、活動の結果とプロセスを反省し、今後の計画を立案するのです。

 言葉で説明すると以上のようになるのですが、QCストーリーは頭で理解するだけではなく、実際にやってみないと分かりにくい面があります。そのため、技術者塾の講座では演習にじっくりと時間をとります。具体的にどのようにすればよいかが分かるので、会社に持ち帰ってQCストーリーを使いこなせるようになると思います。

 また、技術者だけではなく、ロジカル(論理的)に説得力を持って仕事を進めていきたい文系出身の社員にもお薦めです。