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──話の流れを読めば、「NO」でしょうね。でも、100個もの試作品が全て合格というのなら、量産化を止めようにも、開発メンバーにその理由を説明できません。

皆川氏:「○か×か」、すなわちマルバツ試験は危険です。結論から言うと、不良率が0.5%を超える可能性が60%もあります。「信頼性手法」を使って計算すると、不良率の真の値(量産時の不良率)がPであるときに、n個製作して1つも不良が発生しない確率は、P=0.606となります。つまり、量産時には60%が不良になるというわけです。

 詳細は省きますが、0.5%の不良率を保証するのであれば、少なくとも598個の試作品を試験する必要があるのです。マルバツの評価や、「1か0(ゼロ)か」の評価を採用してはいけません。兆候を表すデータ、すなわち分布の出るデータを使って判断しないと危険なのです。それなのに100個どころか、わずか5個程度の試作品で量産化の可否を決めるところもあるのですから、信じられません。トヨタグループはこの危険性を知っています。だからこそ、SQCが「MUST(必須)」なのです。

 先ほど、SQCを使っていない企業があるのはなぜかと聞かれて、「使わなくてもとりあえず製品が造れるから」と答えました。しかし、SQCを使っていない企業は、実はこうしたリスクがあることを知らないから、という理由もあるのではないでしょうか。逆に言えば、SQCの威力を知らないということが言えると思います。

 トヨタグループでは特に、図面を量産向けに出図して良いかどうかを判断する会議「量産準備移行可否判定会議(デンソーでは、1次品質保証会議)」においてSQC手法を使っていることは必須です。使っていなければ、間違いなく「そんな危なっかしい品質のものを市場に出せるのか?」と突っ込まれます。すなわち、SQC手法なしで量産化はあり得ません。

──「技術者塾」の講座では、SQCをどのように習得するのでしょうか。

皆川氏:SQCが有名なのに定着していないのは、使い方が分からないという面もあると思います。そこで、技術者塾の講座では、SQCの考え方と各手法について1つひとつ事例を含めて解説します。

 加えて、ノートパソコンを使った演習を行います。これは私の講座における改善点です。従来の講座では、SQC手法の理論的な話を中心にしていました。ところが、活用率が低かった。それは「なぜか」と分析すると、現場にはデータがたくさんあって、それを手計算することはできないから、ということが分かりました。そこで、やり方を変えることにしました。すなわち、実践的であることを重視することにしたのです。理論的な部分はソフトウエアに任せて、実際に使いこなすことに重心を移しました。そのため、ノートパソコンを使った演習を行うというわけです。「体験してみないと分からない」という声に応えたいと思っています。

 そうそう、「品質完璧マスターシリーズ」と銘打っていますが、全ての講座を受講しなければならないわけではありません。どの講座を受講しても、会社に戻って実務に活用できるように工夫しています。ぜひ、受講を検討してみてください。

──品質完璧マスターシリーズの講座群(個別の受講が可能です)──
(1)4月6日(水)
「製品の価値を守る 『品質つくりこみ』と『自工程完結』の基礎――設計、生産、品質保証の体質改善」
(2)4月25日(月)
「品質データ整理の基本『QC七つ道具と新QC七つ道具』――演習による活用で徹底理解」
(3)5月16日(月)
「不具合の根本的対策に役立つ『なぜなぜ分析』――真因追究と対策の過程を、実際の演習で理解」
(4)5月27日(金)
「品質トラブルを未然に防ぐ切り札、トヨタも推奨するDRBFM――自動車部品を使って、DRBFMを演習しながら理解する」
(5)6月15日(水)
「トヨタの課題解決の基本『QCストーリー』の実践――業務を想定した演習で“使える力”を身に付ける」
(6)7月20日(水)
「開発目標値の決定に不可欠な『品質機能展開(QFD)』入門――新製品の企画を想定したQFDを演習しながら理解する」
(7)8月5日(金)
「データを見える化する『SQC』入門――具体的なデータを活用して演習しながら理解する」
(8)9月28日(水)
「データの意味が分かり、次を予測できる『多変量解析』入門――解析ソフトを用いて実践演習しながら理解する」
(9)10月19日(水)
「因子の最適値の決め手『実験計画法』入門――解析ソフトを用いて実践演習しながら理解する」
(10)11月7日(月)
「品質トラブルを未然に防ぐ切り札、トヨタも推奨するDRBFM――自動車部品を使って、DRBFMを演習しながら理解する」(注:2回目の開催。5月27日と同一講座)
(11)11月30日(水)
「製品の寿命を設計する『信頼性工学』入門――具体的なデータを活用して演習しながら理解する」
(12)12月14日(水)
「トヨタの不良品流出防止法『QAネットワーク』――製造工程を想定し、演習しながら理解する」