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──良い案が浮かびました! チームメンバーがいるなら、個々のメンバーでばらばらに紙コプターを作ります。そして、落下実験を行って滞空時間が最も長い紙コプターを見つけ出す。それをベースに改良を加えていけば、優れた紙コプターが出来るはずです。

皆川氏:…(苦笑)。その方法では、収束する方向に進むのか、拡散する方向に向かうのか分かりませんね。エンドレスとなり、一体いつになったら最適設計にたどり着けるのでしょうか。

──改善は永遠です。

皆川氏:…(苦笑)。

──その表情から察するに、こんな方法をトヨタグループでは採らないのですね。

皆川氏:採りません。そんな回答をしたり行動を取ったりしたら、「君は実験計画法を勉強したのか?」と先輩や上司から叱責されることでしょう。

 実験計画法では、まず先の羽根や胴体の長さなどの要素(因子)のうち、どれが滞空時間に大きな効果を及ぼすかを「直交実験」で絞り込みます。直交実験では、それぞれの因子について複数の段階(水準)を設けてサンプルを作り、実験を行います。例えば、与えられた条件の中で考えられる最小と最大(小と大)の2水準を考えてサンプルを作る。ここでは8種類のサンプルを作ります。こうして紙コプターの落下実験を行う。すると、その結果から、どの因子が滞空時間に大きく影響するのかを割り出すことができます。

 ここで例えば、羽根の長さと胴体の幅という2つの因子が滞空時間に与える影響が大きいと分かれば、次に「元配置実験」を行います。今度は3水準、すなわち羽根の長さも胴体の幅も大、中、小の3種類を設定し、3×3=9種類のサンプルを作ります。こうして再度実験すれば、羽根の長さと胴体の幅の最適値が見つかります。その後、最適値のサンプルを作り、最終評価を行うという仕組みです。