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──なぜ、審査ではダメなのでしょうか。

皆川氏:みんなで議論しなくなるからです。審査になると、多くの会社が「なんとかその製品を次に流そう」と考えるようになる。そのため、設計に関して十分な議論をせずに次に進んでしまうことになります。

 DRBFMのDRではそうではなく、FMEA(DRBFM)のワークシートを使って、なぜそうした設計をしたのかについて、「みんな」で議論します。みんなとは、「設計」に加えて「製造」「生産技術」「品質保証」「検査」の人間のこと。デンソーではこれを「5者」と呼びます(注:5者とは5部門という意味であり、人数が5人というわけではありません)。DRBFMの最終的な狙いは、品質トラブルを起こさないことです。製品を世の中に出す際に、最上流である設計が、本当に品質的に良いかどうかをみんなで議論する。それがDRBFMで最も重要なポイントなのです。

 もう少し分かりやすく説明しましょう。ディーゼルエンジンの燃料噴射システムを設計するとします。議論をせずに単に審査だけを行っている会社では、例えば燃料の噴射圧力を取り上げる場合に、設計者が「噴射圧力を100MPaにしました。いいですね?」というふうに聞く。すると、審査する人は「いいです」となる場合が多い。本当は100MPaではなく、150MPaにしなければ競争力がないかもしれません。しかし、そうした点を誰も確認することはなく、そのまま通過してしまう。

 これに対し、DRBFMのDRでは「なぜ、噴射圧力を100MPaにしたのか」をテーマに議論を進めます。まず、設計者が100MPaにした根拠を説明します。それに対し、本当に100MPaでよいのか、設計以外の部門の人間(残りの4者)が各専門の視点から質問をしていきます。設計が決めた公差が本当によいのか? 材質は? 熱処理は? 表面処理は? 製造上に問題があるのではないか、あるいは品質保証的に耐久性が持たないのではないかなど、各専門の知見を交えて「設計の根拠」をみんなで議論しながら明確にしていくのです。

 審査だけでは、こうした設計の根拠を明確にしないで進めてしまう危険性があります。DRBFMのDRではそうした危険性を防ぐことができるのです。