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──信頼性工学を使えば製品の寿命をきちんと把握することができるのですね。では、信頼性工学を知らないとどのようなデメリットがあるのでしょうか。

皆川氏:例えば、ある車種が市場不具合を起こし、走行距離が1万kmまでのデータしかないとします。この車種について、寿命がくるまで走った場合にどれくらいの割合で不具合が発生するか? と聞かれたら、信頼性工学を知らないと答えることができません。「1万kmまでの不具合の累積(合計)発生率は5ppmだ。これくらいなら、まあいいか」と放置した。ところが、後になって慌ててリコールするはめになった──という事態に陥る危険性があるのです。

 これに対し、信頼性工学を使えば、1万km程度の短い走行距離からでも車両の10万km走行までの不具合の累積発生率を予測することができます。その結果、早い段階でリコールの判断を下すことができるのです。リコールは早いほど掛かる費用が少なくて済みます。大量に販売してしまった後でリコールするよりも、発売後できる限り短い時期にリコールした方が市場を走っている台数が少ないからです。

 加えて、不具合のモードには次の3つがあります。「初期故障」と「偶発故障」、「摩耗故障」です。ある製品で市場不具合が起きた際に、信頼工学を知らないとどの不具合モードなのかが分からない。すると、適切な処置ができず、見当違いの対策になってしまいます。

 本当は初期故障なのに摩耗故障と判断すると、打つ手が変わってしまう。例えば、燃料ポンプに組み込んだブラシ付きモーターが工場の製造不具合が原因で故障した。典型的な初期故障です。ところが、これを摩耗故障と判断し、ブラシを厚くして摩耗への耐性を高めたとする。これでは不具合の発生を抑えられないだけではなく、ブラシを厚くするというムダなコストが掛かってしまいます。