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──信頼性工学は日本企業にどれくらい浸透しているのでしょうか。

皆川氏:残念ながら、あまり浸透していないと感じます。信頼性工学を知らなくても、とりあえず製品は造れます。なぜなら、会社に入ると「従来の製品」の信頼性試験の条件が明示されているからです。上司や先輩がかつて決めた条件をそのまま踏襲して試験を実施すればよいと考えている技術者が多いのです。

 ところが、それは「既存の製品」と「既存の環境」に対してのみ有効な条件に過ぎません。もしかしたら、新製品は経験のない新しい市場で販売されるのかもしれません。そうなると、市場で不具合が頻発する恐れが出てきます。なぜなら、しかるべき市場ストレス調査を実施していないからです。

 今、製品はますますボーダーレスになり、顧客も先進国から新興国まで拡大しています。使われ方も多種多様。日本の技術者が考える「常識」は通用しなくなっています。例えば、クルマのホーンにしても、日本では本当に危険な時の警告程度にしか使われませんが、インドや中国のドライバーは頻繁に使います。ホーンを鳴らしながら走ると言っても過言ではないほどです。ホーン1つとっても信頼性試験の条件が大きく変わるのですから、過去の信頼性試験の条件が通用しないのは容易に想像がつくと思います。

──信頼性工学を学ぶ上でのポイントを教えてください。

皆川氏:寿命目標を必ず3点で設定することです。開始点と代表点、終了点です。例えば車両の残存率(新車で購入した車が残っている比率)95%、50%、10%の3点での走行距離における寿命目標。これらを決めておけば、信頼性試験の際に不具合が出るかどうかの予測ができます。どれか1点だけでは、市場で不具合が起きてしまいます。これらの3つの寿命目標を押さえて、それに見合った設計をすれば、耐久性に関する市場不具合の発生を防ぐことができるのです。