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 繰り返しになりますが陸上競技では、例えばバットやラケット、クラブといった道具をほとんど使用しません。さらに公平性を尊ぶ精神性が強いこともあり、他の多くのスポーツのように道具の進化が記録をどんどん更新させている、というような傾向にはありません。

 それに、陸上の投てき競技には物理的にエネルギーが必要です(図1)。各種球技のボールよりも重たいものを投げることもあって、全てを体力に依存しているといっても過言ではないでしょう。

図1 スポーツで投げるものの初速度と運動エネルギー
図1 スポーツで投げるものの初速度と運動エネルギー
東 昭(日本機械学会誌1992年11月号)の図を基に筆者作成。
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 それゆえ、もし古代ギリシャの「円盤を投げる男」が現代にタイムスリップしたとしても、裸はまずいですが、試技をする上ではきっと違和感なく競技場に溶け込むように思います。その円盤投げのアスリートの像は、スポーツのスピリットは変わらない、そして忘れてはいけないと微笑みながら警告しているような気がします。

 「陸上競技のテクノロジー」の解説は今回が第3回に当たります。今回は棒高跳びについてお話しします。