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エレクトロニクス技術を必要とする分野が、自動車、ロボット、医療、農業へと広がっている。それとともに、これまでエレクトロニクスを本格的に学んだ経験を持たない技術者が、新しい仕事で、アナログ回路設計に初めて接する場面が増えている。必ずしも電気電子工学出身ではないが、新たにアナログ回路設計に携わるようになった若手技術者が、コツや勘所をつかむためには何が重要か。日経BP社は、「実践的アナログ回路設計のコツ」をテーマにした講座を、技術者塾として2回にわたり開催する(基礎編の詳細応用編の詳細)。本講座で講師を務める群馬大学 理工学部 非常勤講師の中谷隆之氏に、講座の狙いや効果、アナログ回路設計のポイントなどについて聞いた。

――アナログ回路設計技術を基礎から理解することで、どのような効果が得られるでしょうか。ご紹介ください。

 基礎や原理を知っていると、回路を設計しているときの「面白さ」「楽しさ」が全く違います。幾つか理由があります。

 まず、基礎を知っている技術者は、“本物のアナログのプロフェッシナル”に成長できる可能性が高い。日々の設計業務で得られる知識や経験を、効率的に蓄積できるからです。プロのアナログ技術者は世界的にも貴重です。一方、基礎(=土台)がなければ、何年続けて仕事をしていても“本物”にはなりません。

 日々の業務も、効率的に進められるので、仕事が楽しくなります。回路設計の現場では、先例に基づき、一部の設計を変更して再利用することが多くあります。このとき、基礎や原理を理解していないと、部品変更や定数変更などで思いもよらないトラブルを引き起こすことになってしまうのです。

 また、基礎や原理を知っていると、「何がポイントなのか」を把握できるため、効率的な設計ができるようになります。例えばシミュレーターを最大限に有効活用でき、実験や評価も効率的に行えるようになります。

 これまで、若いアナログ技術者がシミュレーターを“使う”のではなく、“使われている”様子を多く見てきました。基礎や原理を理解していないため、どこのパラメーターを調整すればいいのか分からず、あちこちの定数を試行錯誤でいじって、多大な時間を掛けている様子です。