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量子ドット技術が注目を集めている。技術とビジネスの両輪が動き出したからだ。舞台はディスプレー分野である。量子ドットは、数n~数十nm径の半導体の微粒子。ディスプレーの性能を大幅に引き上げる有望な革新技術である。この量子ドットの技術とビジネスの動きを知ることができる講座を、日経BP社は技術者塾として開催する。本講座で講師を務めるテック・アンド・ビズ 代表取締役の北原洋明氏に、講座の狙いや効果、量子ドットのポイントなどについて聞いた。(聞き手は、日経BP社 電子・機械局 教育事業部)

――量子ドットが今、注目されている理由は。

テック・アンド・ビズ 代表取締役の北原洋明氏
テック・アンド・ビズ 代表取締役の北原洋明氏

 今、量子ドットが注目されているのは、液晶ディスプレーの性能を格段に高めることができる材料だからです。これまで、カラー液晶ディスプレーは30年以上にわたってさまざまな性能を高めてきました。例えば、大画面化、広視野角化、高速応答化、高精細化などです。そして次に目指しているのが、広色域化です。2020年の東京オリンピックまでに実用化を目指している8Kスーパーハイビジョン放送では、大画面・高精細の表示とともに、自然色と同じ色を出せる広色域なディスプレーの開発が精力的に行われています。この広色域を実現できる最有力候補が、量子ドットを採用した液晶ディスプレーになります。

 この量子ドットの技術を知ることは、今後のディスプレーの世界をより広く理解することにつながります。液晶ディスプレーへの量子ドットの応用は既に始まっています。量子ドットの開発・実用化を進めている世界のベンチャー企業だけでなく、量子ドットを液晶ディスプレーに応用できるように開発を進めている材料メーカーや装置メーカー、さらには量子ドットを搭載した製品を開発しているパネルメーカーやセットメーカーなど、ディスプレー産業のサプライチェーン全体が一気に動き始め、主導権を握るためのアライアンスも活発化しています。このようなビジネス面での状況を理解することが、今後のディスプレー関連事業で成功するための重要な情報となります。

――量子ドットは、今後ますます必要とされるようになるのでしょうか。

 ディスプレーの広色域化を実現する技術は、たくさんあります。その中で、これまで最も有力と言われていたのが有機EL技術でした。しかし、液晶ディスプレーでも、高演色のカラーフィルターや高演色のLED光源を使う方法、レーザーダイオード光源を使う方法、そして量子ドットを使う方法など、さまざまな技術がこの2~3年の間に登場し、色域を広める競争を繰り広げています。液晶以外でも、MEMSディスプレーが注目を集めています。

 こうした多種多様なディスプレー技術の間で、広色域化競争が激化しています。その中で、8Kディスプレーのフォーマット「Rec.ITU-R BT.2020」の色域を100%満たそうとすると、量子ドットを使う方法が最も簡便かつ確実な方法と見られています。既に製品への採用と市場投入も進みつつあり、今後ますます利用が広がっていくと予想されています。