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ビジネスキューブ・アンド・パートナーズ シニアディレクターの田渕一成氏
ビジネスキューブ・アンド・パートナーズ シニアディレクターの田渕一成氏
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 2015年に、「Automotive SPICE」の最新バージョンとなる「v3.0(Automotive SPICE 3.0)」が発行された。Automotive SPICEとは、自動車に搭載される電子制御ユニットに組込まれるソフトウエアの品質改善を目的として、欧州の主要完成車メーカーが共同で策定した「自動車業界向けの開発プロセスモデル」。Automotive SPICE 3.0では、エンジニアリング系プロセスの構造が大きく見直されている。

 「技術者塾」において「最新版「Automotive SPICE 3.0」 改定のポイントと今後の動向」の講座を持つ、ビジネスキューブ・アンド・パートナーズシニアディレクターの田渕一成氏に、Automotive SPICE 3.0の改定のポイントを学ぶ必要性や利点について聞いた。(聞き手は近岡 裕)

──Automotive SPICE 3.0への対応は、今なぜ必要なのでしょうか。

田渕氏:実は、既に欧州のいくつかの完成車メーカーがAutomotive SPICE 3.0への対応を部品メーカーなどに求めています。そうした完成車メーカーは、Automotive SPICE 3.0で強化されたポイントに関してプロセス改善を要求。しかも、その対応期限を2015年12月や2016年4月といった早期に設定しています。つまり、まもなく、いやすぐにでもAutomotive SPICE 3.0に基づいたアセスメント(評価)が行われるようになるのです。

 しかし、ご承知の通り、プロセス改善は一朝一夕に行えるものではありません。できる限り早く着手する必要があります。技術者塾の講座では、Automotive SPICE 3.0への対応のポイントに重点を置いて解説する予定です。

──Automotive SPICE 3.0への対応は、今後ますます必要とされるようになるのでしょうか。

田渕氏:必要となります。対応すべき領域(ドメイン)がソフトウエアから他の領域にまで拡大していくと予測できるからです。

 従来のAutomotive SPICEは、対象がソフトウエアのドメインに限られていました。具体的には、車載システムに搭載するソフトウエア開発プロセスと、ソフトウエアにブレイクダウンする(落とし込む)ためのシステム開発プロセスだけだったのです。しかし、実際の車載システムには電気・電子や機構といった、ソフトウエア以外のドメインもあります。一方で、車載システムに求められる機能安全規格「ISO 26262」では、最初からこうしたソフトウエア以外のドメインを含めたシステム全体の安全性について、厳格な対応が求められています。これは、Automotive SPICEがソフトウエア開発プロセスに求めている水準と同等の厳しさです。

 車載システム開発に対するこうした要求の変化に対応すべく、Automotive SPICE 3.0では、ソフトウエア以外のドメインにも対応できるように「プラグインコンセプト」という新たな概念の導入と構造の変更を行いました。プラグインコンセプトとは、電気・電子のハードウエア開発、機構のハードウエア開発など、車載システムの開発に含まれる各技術ドメインに特化したプロセスモデルを個別に定義し、それらをAutomotive SPICEに差し込んで一緒に利用可能にするためのコンセプトです。このプラグインコンセプトの導入により、Automotive SPICEは車載システム開発の全てに適用できる拡張性を備えました。

 ただし、実は、現時点ではAutomotive SPICE 3.0が対象とするエンジニアリングドメインはソフトウエア開発プロセスだけです。しかし、2016年以降にソフトウエア以外のドメインに関しても、Automotive SPICE 3.0にプラグイン可能な開発プロセスモデルが発行されることが検討されています。つまり、今後はAutomotive SPICEがさらに広く用いられるようになると予想されるのです。

──Automotive SPICE 3.0を学ぶ上でのキーポイントを教えてください。

田渕氏:まずは、先ほど述べたプラグインコンセプトをはじめとする、Automotive SPICE 3.0の主要コンセプトを理解することが重要だと思います。また、各プロセスの詳細につきましては、日経BP社から新たに発刊(2015年12月を予定)される『Automotive SPICE 3.0実践ガイドブック【入門編】』を活用していただきたいと思います。

──「技術者塾」では、どのようなポイントに力点を置いて説明する予定ですか。また、そこに力点を置く理由を教えてください。

田渕氏:講座では、まずAutomotive SPICE 3.0の発行に至った経緯と、Automotive SPICE 3.0の主要コンセプトに力点を置きます。理由としては、前のご質問の答えとして述べた通り、Automotive SPICE 3.0を学ぶ上で重要な考え方がそこに集約されているためです。

──想定する受講者はどのような方ですか。また、受講者はどのようなスキルを身に付けることができますか。

田渕氏:ソフトウエア開発を担当している人に限らず、広く車載システムの開発に関与している人に参加してもらい、Automotive SPICE 3.0のコンセプトを理解していただきたいと思います。受講効果としては、Automotive SPICE 3.0の主要コンセプトを把握し、変更点を把握できます。加えて、Automotive SPICE 3.0への対応の勘所を理解することができます。これらにより、自社における今後の対応策を検討するヒントにしてもらえれば幸いです。