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 前回のコラムでは、設計と性能検証担当者による問題解決のアプローチを紹介しました。今回は設計と生産技術に携わる方々を対象に、お互いのノウハウを集約することで構想設計および量産準備の手戻りを削減し、新たな技術開発へリソースをシフトすることに取り組んだ事例を紹介します。

 自動車メーカーB社は、昨今の環境規制やグローバル化に伴い、複雑かつ多様化する市場要求への対応に向けて、様々なバリエーション開発を行っていました。その中でもトランスミッションにおける機能部品の開発に問題を抱えていました。

 通常のバリエーション開発時、設計者は一度市場に投入されている機種をベースに、大型化や小型化、レイアウト変更などを行っていたのですが、その変更した寸法や形状がどのような機能や製造性に影響を与えるのかを把握することは、担当者の経験値に頼るところが大きい状況でした。新機種開発に携わった設計者は機能や製造性まで含めて検討する経験を積むことで有識者となれるものの、その経験は個人持ちとなり、バリエーション開発に携わる設計者へ伝わることは無く、先に述べたような状態になっていました。

 一方、生産技術側では「現地調達」という業務が有識者の工数を圧迫していました。現地調達とは、量産準備の段階で各拠点間およびサプライヤーの差異を確認して課題を抽出し、量産ラインを立ち上げるという業務です。この業務も設計と同様に経験値に頼るところが多く、設計のパラメーター変更や設備の違いから製造工程への影響を全て把握し、対策を検討することは、有識者でしか対応できない業務でした。

 そのような状態の中で今後もバリエーションを増やして開発していくために、トランスミッションの開発リーダーは設計および製造のノウハウを集約させ、経験の浅い人でも変更点の影響範囲を把握することで一定の品質を保てるような仕組みを構築しようと考えていました。

 そこで、B社は技術ばらしという手法を使い、トランスミッション機能部品における設計と製造のノウハウ集約とそのノウハウを活用するためのプロセスを定義することになりました。