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 2010年に成立した米国紛争鉱物条項は、世界の産業界に大きなインパクトを与えた。人権保護という目的を、より効率的に達成するために、世界の産業界は取り扱う鉱物が紛争に加担しない調達源であることを第三者が認定するプログラム、いわゆるCFSプログラムを開発し、普及推進させている。本コラムでは2回にわたり、紛争鉱物問題を取り上げる。今回は前編として、紛争鉱物の概要、CFSプログラム、そして電子情報技術産業協会(JEITA)の取り組みを紹介する。

 2010年7月、米国で金融規制改革法が成立しました。金融規制を強化して消費者を保護するのが目的です。その金融規制改革法にある1502条が紛争鉱物条項と言われているものです。アフリカのコンゴ民主共和国(DRC)および隣接国には武装勢力存在し、残虐な暴力行為によって地域住民に鉱物を強制的に採掘させ、その取引から得られる利益を用いて紛争を継続しています。それら武装勢力の資金源を断ち、紛争を終結させるという人道的な目的を達成するために、紛争鉱物条項は規定されました。紛争鉱物条項の人道的な目的は称賛されるべきものです。

 紛争鉱物条項で規定された内容は企業に対し、武装勢力の資金源となる紛争鉱物の使用を直接禁止するものではなく、これまでにないアプローチを採用しました。同条項は、企業の情報開示に基づく消費者やNGOの圧力によって、武装勢力にかかわる紛争鉱物を市場から排除することを目的とするものです。実際に、金融規制改革法の成立に先立つ2010年6月には、NGOが米国の「Apple Store」の前でデモを行い、取り扱い製品をコンフリクト(紛争)フリーとすることを要求していました。

 紛争鉱物条項は、産地や武装勢力との関わりの有無とは関係なく全てのタンタル、スズ、タングステン、金(Tantalum、Tin、Tungsten、Gold:3TG)を紛争鉱物と定義しました。その上で、米国の証券取引所に上場する製造業者などに対し、製品に使用する紛争鉱物の原産地情報などの米国証券取引委員会(SEC)への報告と自社のWebでの開示を義務付けました。原産地がDRCおよび隣接国だった場合には、さらに詳しい調査など(いわゆる、デュー・デリジェンス)を実施して、紛争鉱物報告書を提出・公開する義務が課されます。

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