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 米Googleが新方式の量子コンピュータを実現する技術を開発した。「量子ゲート方式」の量子コンピュータによって「量子アニーリング」をシミュレーションする。Googleは新方式によって、既存の「量子アニーリング方式」の量子コンピュータが抱える課題を解決できると主張している。

 2016年6月9日に科学誌「Nature」で「Digitized adiabatic quantum computing with a superconducting circuit」と題する論文を公開し、詳細を明らかにした。最大9個の「量子ビット」を備えた量子コンピュータのプロトタイプを開発し、量子アニーリングをシミュレーションする実験に成功したとしている。タイトルにある「adiabatic quantum computing(量子断熱計算)とは、量子アニーリング(Quantum Annealing)の別名。

 量子コンピュータの方式としては、米IBMや米Microsoft、米Intelなどが開発を進める量子ゲート方式と、東京工業大学の西森秀稔教授と門脇正史氏が提唱した理論に基づいてカナダD-Wave Systemsが2011年に商用化した量子アニーリング方式がある(関連記事:量子コンピュータ開発が日米で加速、用途は人工知能)。

 量子ゲート方式は、アルゴリズムを開発すれば様々な問題が解けるとされるが、現時点では暗号解読に利用できる「因数分解」のアルゴリズムが開発された程度である。最近は量子ゲート方式の用途として、汎用的な計算よりも「量子系をシミュレーションする『量子シミュレーション』が重要視されている」(東工大の西森教授)という。

 一方の量子アニーリング方式は、装置の中で実際に量子アニーリングという物理現象を発生させることで、「組み合わせ最適化問題」を解く(関連記事:驚愕の量子コンピュータ)。組み合わせ最適化問題は「機械学習」や「ディープラーニング」の計算処理そのものであり、これが高速に解けるようになれば、より高度な人工知能を実現できる可能性がある。