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 米Appleが250億ドル(約3兆円)、米Amazon.comが69億ドル(約8300億円)、米General Electric(GE)が50億ドル(約6000億円)――。2015年9月から10月にかけて3社が発表した数字が、エンタープライズ(企業向け)ITベンダーを震え上がらせている。

 これらの数字は、3社の「エンタープライズIT事業」の年間売上高だ。Appleの数字はTim Cook CEO(最高経営責任者)が15年9月末に明かしたもので、15年6月までの12カ月間における企業向け売上高の累計となる。Amazonの数字は15年10月に発表した15年7~9月期決算における、同社のクラウド事業「Amazon Web Services(AWS)」の15年9月までの12カ月累計売上高。GEの数字は同社が15年9月末に発表した、2015年における同社ソフトウエア事業の売上高推計だ。

3社の合計は「富士通1社分」に匹敵

 3社の売上高を合計すると369億ドル(約4兆4300億円)。日本最大のエンタープライズITベンダーである富士通(2014年度の売上高は4兆7532億円)に匹敵する規模に近づいている。既存のITベンダーから見れば、それだけの金額がApple、Amazon、GEという「新興勢力」に奪われたことを意味する。

 しかも、米IBMや米Hewlett-Packard(15年11月からは米Hewlett-Packard Enterpriseと米HP Inc.に分社化)といった既存ITベンダーが減収決算を続けている一方で、新興勢力の成長は著しい。AWSの15年7~9月期における売上高成長率は前年同期比79%増だった。AmazonのAndy Jassy Senior Vice Presidentは常々、AWSの売上高が将来的にはAmazonの小売り事業の売上高を上回るとの見通しを語っている。

 GEのソフト事業の売上高は2012年には30億ドルに過ぎなかったが、3年で2倍近くにまで増えた。さらにGEのJeff Immelt会長兼CEOは、ソフト事業の売上高を今後は年率20%で成長させ、2020年には150億ドル(約1兆8000億円)にまで伸ばすと語る。

7年前の「さよなら」を取り消し

 記者は7年前の2008年に、ITproで「さよならエンタープライズ」という記事を書いたことがある。「IT分野のイノベーションは全て、エンタープライズ市場ではなくコンシューマー(消費者向け)市場で起きている」「だからエンタープライズITは取材をしていて退屈だ」というのがその趣旨だった。

 記者の「エンタープライズITは取材をしていて退屈だ」という発言は、今日においては取り消さざるを得ないだろう。今のエンタープライズITは、技術動向的にも市場動向的にも激変期にあり、取材をしていてとても面白いからだ。