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 東芝のいわゆる「不適切会計問題」は、同社の今後の事業に大きな影響が及ぼすことは必至だ。今回の問題が明らかになる以前の2015年3月、本コラムの前身であるSCR大喜利にて、「東芝のメモリー事業は、なぜ生き残りなぜ好調なのか」をテーマに議論した。そこでは、日本の半導体産業の中でただ1社気を吐き、世界の半導体メジャーと太刀打ちできる力を持つ同社の強さを、さまざまな角度から分析した。ところが、同社の過去と現在の評価、そして将来の見通しを再考せざるを得ない状況になった。

 半導体事業、特に東芝が競争力を持つNANDフラッシュメモリーの事業は、巨額の設備投資と研究開発投資が欠かせない事業である。他の事業以上に財務状況と密接に関係した事業と言える。たとえ技術的な優位性があったとしても、資金調達が困難になれば、商機を逸したり、選択できる戦略の自由度が低くなったりする可能性が出てくる。

 今回の問題は、9月7日の平成27年3月期の決算発表をもって、一定の区切りがついた状態にはなった。ただし、同社は、財務基盤に不安要因と不確定要因を抱えながら、応用市場と業界構造が激変する半導体業界を渡っていくことになる。今回の大喜利では、現在の同社の半導体事業の状況、そして今後の方向性を考える上での、注目点を洗い出すことを目的とした。最初の回答者として、同社の製品を使うユーザーの視点から、某ICT関連企業のいち半導体部品ユーザー氏にお答えいただいた。(記事構成は伊藤 元昭)

いち半導体部品ユーザー
某ICT関連企業
ICT関連企業で装置開発に必要な半導体部品技術を担当。装置開発側の立場だが部品メーカーと装置開発の中間の立場で両方の視点で半導体部品技術を見ている。

【質問1】今回の問題によって、東芝の半導体事業にはどのような影響が及ぶ可能性があると思われますか?
【回答】ユーザーとして影響はあってほしくないが東芝自身の問題

【質問2】不安要因と不確定要因を抱えながら、東芝の半導体は、どのような戦略や戦術の変更が必要になると思われますか?
【回答】まずは信用回復の努力と社会貢献できる新製品の開発

【質問3】製造装置や材料のサプライヤー、または同社製品のユーザーに、どのような影響が及ぶと思われますか?
【回答】サプライヤーやユーザーは、ワーストシナリオを想定すべき

【質問1の回答】ユーザーとして影響はあってほしくないが東芝自身の問題

 東芝は大企業であり、かつ社会的影響も非常に大きな企業である。影響をある程度抑え込む力もあるだろうし、産業界全体への影響が少ないに越したことはない。私自身も東芝の半導体製品を使うユーザーである。何も変わらず、製品を継続して供給し続けることを切に希望する。

 しかし半面、このままで良いのかという疑問もあるし、東芝自身も半導体事業を含め変わらなければならない義務もあると考える。今回の問題は許されるものではなく、何らかの制裁はあるべきという気持ちがある。これは、同社の製品に頼るユーザーとしても、そう感じる。しかし、東芝の半導体製品を使うユーザー企業や材料などの納入業者は、同社に勝手に変わられてしまったら困る。とても矛盾した想いの中にいる。

 いずれにしても、今後東芝がどう判断するか次第と考える。社会的にはきちんと責任を取ったという状況と、ユーザーを含む関連企業や社会への影響を最低限に留める判断、行動に期待したい。