欧米家電の半導体も中国・アジア製
図2、図3は米国の老舗メーカー製のホームベーカリーである。欧米の白物家電、ホームベーカリーや電子レンジなどの調理家電は、デザインや機能性の高さから根強いファンが世界中にいる。高級店では一ケタ高い価格(日本製品は数千円でも、欧米製品は数万円)で取り扱われているケースも多い。
「爆買い」という言葉が広まったように、海外からの観光客が日本製品を大量買いするのも、日本製品という信頼やブランドが買われているからに他ならない。ほぼ同等の性能でも、中国製より日本製を高くても買う。
欧米の白物家電のデザインは、普遍的とも言える1950年代を彷彿させるものもあれば、オン/オフのスイッチしかついていないシンプル美を貫いているものもある。ただし、電子化が進んでいないわけではない。マイコンなど電子部品を組み込み、加熱時間の調整や保温管理などの電子制御で大幅な性能向上を果たしている。
売れ筋である欧米の代表的な白物家電の中身は、半導体を見ると今はほとんどが中国やアジア製のチップとなっている(例外として米Microchip Technology社のPICマイコンのみ採用事例が多い)。熱発生部やモーター、ディスプレー(簡単なLCDパネル)もほぼ同様に中国、アジア製の部品である。使われている部品の種類は製品によっても異なるが、ハードウエア原価はほとんどがトータルで300円、500円という範囲だ。こうした製品が有名デパートや高級調理家電店で数万円で売られており、高い人気を誇っている。冒頭で紹介したFridgeezooも欧米家電も、消費者はブランドや製品のユニークさ、機能性、デザインに価格の多くを払っているというわけだ。