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 携帯電話機やスマートフォン、タブレット端末といったモバイル機器では、チップセットが大きなウエイトを占めている。チップセットとは機能の多くをセット化したものだ。一般的には、OSやソフトウエアが動作するアプリケーションプロセッサーと通信(3GやLTE)プロセッサー、通信用のトランシーバー、ローカル通信(無線LANやBluetooth、NFC)などのチップ、それに電源ICを加えたものをチップセットと呼ぶ。これらを1社で供給できれば、チップセットの市場での支配力が高まる。このモデルで成功を収めているのが米Qualcomm社や台湾MediaTek社、中国HiSilicon社などだ。

 電源ICは、電池で駆動する製品の普及(携帯電話機やスマートフォンなど)によって大きな成長が続いている分野の1つである。例えば、非常に高度な処理を行うには多くの電力を消費するが、簡単な処理の場合は電力を消費しない。スマートフォンの場合、未使用の待ち受け状態が最も電力を使わない。メールの受信や電話の着信だけが仕事だからだ。

 トランジスタには、2つの電力が存在する。動作電力とリーク(漏れ)電力である。動作電力はその名の通りチップが動作するときの電力で、チップを使わなければ発生しない。一方、リーク電力はチップに電源が接続されている限り、ジワジワと消費が続く。これは「カーテンによる遮光」で例えると分かりやすい。薄いカーテンでは光を遮断できず、光が常に漏れる。チップの処理速度を高速化(薄いカーテン:薄くて軽量なので速く開閉できる)するため、トランジスタの幅を小さくして薄くしたことで常に漏れてしまう電力=リーク電力が増えるのである。

 リーク電力を減らす方法は2つある。トランジスタの反応速度を変えるための「VTH調整」と呼ばれる電力を変える方法(High VTHでは反応速度が遅くなってリーク電力が減る、Low VTHは反応速度は早いがリーク電力が大きい)と、電源そのものを止めてしまう方法だ。電池による駆動時間をさらに伸ばすため、チップの処理速度を下げてしまう方法もある(ただしこれはリーク電力には関係がない)。