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 経済産業省は2017年3月3日に開催した「ヘルスケア産業の最前線2017」の第1部として、「平成28年度健康寿命延伸産業創出推進事業成果報告会」を開催した。同事業は2014年度からの3カ年事業で、「健康寿命延伸産業」の創出および育成によって健康増進や医療費の適正化を目指すもの。

経済産業大臣財務官の中川俊直氏
経済産業大臣財務官の中川俊直氏
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 報告会の冒頭では、経済産業大臣財務官の中川俊直氏が登壇。同事業の目的について、病気や要介護状態の人には質の高い医療や介護によって安心感を提供する一方で、年を重ねても社会で役割を持ち続けるような社会を作っていくことだと説明した。その上で、この3年間の取り組みを通して、民間の事業者や自治体など多様なプレーヤーが主体となって地域住民の予防や健康増進に取り組む「新たなモデルが登場してきた」(中川氏)との手応えを述べた。

 最終年度となった2016年度の委託事業として採択されたのは、12件。具体的には、「『健康の気づき~健診~治療・健康増進』の一貫した生活習慣病予防を提供する事業」のテーマが4件、「地域包括ケアシステムと連携した介護予防等を提供する事業」が5件、「社会参加促進を通じた生涯現役社会の構築を行う事業」が2件、「地域内の企業における健康経営実施を支える事業」が1件である。

高齢者が就労するための仕組みを

 成果報告会で登壇した1社が福祉工房だ。2016年度の委託事業として「社会参加促進を通じた生涯現役社会の構築を行う事業」のテーマで採択された「高齢者の『健康づくり』と『就労マッチング』による生涯現役社会の実現」について報告した。

 福祉工房の事業は、高齢者の健康づくりと就労マッチングの実現を目標としたもの。介護業界の人手不足を元気な高齢者の労働力で補う動きが出ている一方で、就労への仕組みが十分整備されているとはいえない現状に目を付けた。舞台となったのは、東北福祉大学に設置し、福祉工房が企画と運営を行う「仙台元気塾」。

 事業モデルはこうだ。まず、高齢者は健康サービスを受け、自分の健康と向き合う。次に教育サービスを受け、雇用に必要な知識やスキルを学ぶ。そして、社会参画支援サービスとして、具体的な指導イメージと実践的なノウハウを獲得した後、就労マッチングを行う。

 仙台元気塾では、このモデルに沿った実証事業を行った。入口としてセミナーを開催したところ、総勢470人が参加した。音楽健康指導士養成講座と認知症介護の基礎研修を実施し、就労マッチングに向けた社会参画支援サービスを提供した。この研修にはⅠ期生として20人、Ⅱ期生として31人が登録し、これまでにⅠ期生20人のうち13人が介護予防教室などでの就労を実現している。

福祉工房 経営企画室 室長の小田充宏氏
福祉工房 経営企画室 室長の小田充宏氏
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 実証事業に集まったのは、男性が25%、女性が75%。年齢層としては男女ともに団塊の世代が中心だった。一般的に健康増進や介護予防のプログラムは男性の参加率が低い傾向にあるとしたうえで、「65歳以下の層の啓発が課題となる」と福祉工房 経営企画室 室長の小田充宏氏は話した。