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EtherCATの採用を宣言したトヨタ自動車先進技術開発カンパニー工程改善部長の大倉守彦氏
EtherCATの採用を宣言したトヨタ自動車先進技術開発カンパニー工程改善部長の大倉守彦氏
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 トヨタ自動車は、工場のIoT化におけるフィールドネットワークの標準として「EtherCAT」を採用する。EtherCATはドイツ発のオープン・フィールドネットワークで、特に工作機械などにおいて広く普及している。「トヨタ自動車が考えるIoT化のコンセプトを実現できる技術」(同社先進技術開発カンパニー工程改善部長の大倉守彦氏)と判断し、導入を決めた。今後、全世界のサプライヤーにEtherCATを推奨する。主要なサプライヤーに対しては、2016年3月に通知を始めたという。

 「Hannover Messe 2016」(2016年4月25~29日、ドイツ・ハノーバー)で開催されたEtherCAT Technology Group(EtherCATの推進団体)のプレスカンファレンスにおいて、トヨタ自動車の大倉氏がゲストスピーカーとして登壇し、EtherCAT採用の方針を明らかにした。ドイツ発のEtherCATを採用することについては内外から異論もあったようだが、「ドイツだろうが日本だろうが、我々はユーザーとして最も良い技術を採用する」(同氏)という方針を貫いた。

赤と黒から成る2色のケーブルがEtherCAT P、黄色のケーブルは一般的なEtherCAT
赤と黒から成る2色のケーブルがEtherCAT P、黄色のケーブルは一般的なEtherCAT
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 今回、トヨタ自動車がEtherCATの採用に踏み切った理由の1つとして、EtherCATの拡張規格である「EtherCAT P」の存在が挙げられる。EtherCAT Pは、高速データ通信と電力供給を1本のEthernetケーブルに統合する省配線技術で、2015年11月にドイツ・ニュルンベルクで開催された自動化技術の展示会「SPS IPC Drives」で初めて登場した。現在は規格の策定が進んでおり、2016年9月にドラフトが発表される予定だ。

 工場のIoT化では、生産ラインの機械に多数のセンサーを設置する。その際、ケーブルの数を減らせるEthernet Pは「システムの信頼性を高められるという意味で非常に魅力的」とトヨタ自動車の大倉氏は語る。自社で導入するだけではなくサプライヤーに採用を促すのも、最終的には自社製品の品質やコストに利いてくるからだ。

 今後は、プログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)やI/Oモジュールといったフィールドネットワーク機器をEthernet対応製品に切り替えていく。生産ラインへの実装やEtherCAT Pの規格策定では、EtherCATおよびEtherCAT Pの開発元であるドイツBeckhoff Automation社と協力する。トヨタ自動車とサプライヤーがEtherCATの採用を進めることで、フィールドネットワークや機器のシェアに大きな変動が出てくる可能性もある。

握手するトヨタ自動車の大倉氏(右)とEtherCAT Technology GroupのExecutive DirectorであるMartin Rostan氏
握手するトヨタ自動車の大倉氏(右)とEtherCAT Technology GroupのExecutive DirectorであるMartin Rostan氏
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