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「高耐衝撃軽量発泡ドアトリム」
「高耐衝撃軽量発泡ドアトリム」
新開発したドアトリムの質量は1160g。1500gの従来品の質量と比べて約3割軽い。
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「高耐衝撃軽量発泡ドアトリム」のポスター
「高耐衝撃軽量発泡ドアトリム」のポスター
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高速面衝撃試験(表)
高速面衝撃試験(表)
左から、PP、新しい衝撃改質剤を添加したPP、市販の高衝撃アロイを使っての実験した結果。新しい改質剤を添加したPPは割れておらず、圧痕も浅い。
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高速面衝撃試験(裏)
高速面衝撃試験(裏)
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サラミ構造
サラミ構造
PPの中にPA11が分布し、ゴムがPPとPA11の界面およびPA11内部に存在する。
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 「世界で最も軽い上に、側面衝突試験でも割れない発泡ドアトリムだ」――。トヨタ紡織は自社開発した植物由来の樹脂「高耐衝撃バイオプラスチック」(以下、新しい衝撃改質剤)をポリプロピレン(PP)に添加することで、発泡成形しても高強度な性質を持つドアトリムのサンプルを開発した(関連記事)。ソリッド成形している従来品よりも340g軽いため、自動車の軽量化を進めることができる。同社は、この発泡成形ドアトリムを「人とくるまのテクノロジー展2016」(2016年5月25~27日、パシフィコ横浜)に初出展した。

 樹脂は発泡成形すると軽量化できるものの、強度が低くなり割れやすくなるという問題がある。そのため、ドアトリムの製造には主にソリッド成形を利用してきた。同社は新しい衝撃改質剤のペレットをPPへと添加し成形することで、発泡成形の製品に耐衝撃性を付与する。新しい衝撃改質剤は、高速面衝撃試験で自動車用PPと市販の高衝撃アロイと比較しても高い強度がある。

 新しい衝撃改質剤は、PPとポリアミド(PA)11から成るポリマーアロイ。相溶化剤としてゴムを利用し、極性が離れたPPとPA11との親和性を向上させてアロイ化を実現した。素材内部はPPの中にPA11が分布し、ゴムがPPとPA11の界面およびPA11内部に存在する構造(サラミ構造)となっている。同構造は外から衝撃を受けたときに、柔らかいゴムが衝撃エネルギーを吸収するよう。加えてゴムがPPとPA11の界面およびPA11内部にあるため、ゴムの表面積が大きくなって耐衝撃性が強化される仕組み。

 PA11は、インド産のひまし油から造る。物性バランスに優れており、衝撃性や耐熱性、剛性が高い。これを安価なPPと組み合わせると「良いところ取り」という発想から、PPとPA11のポリマーアロイを開発した。中でも衝撃強度が高く、シャルピー衝撃強度は78kJ/m2 と、「樹脂の中で世界最高の衝撃強度」という。これを衝撃改質剤として採用することで、新しい発泡成形ドアトリムを実現した。

 既に基礎開発も量産化検討も終えた。新型車での実用化が近いと見られる。