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 スマート工場関連のフォーラム&展示会「FACTORY 名古屋 2017」の初日(2017年5月30日)、基調セッションとなるパネルディスカッション「スマート工場を実現する『新世代ラインビルダー』の条件」が行われた。ラインビルダーの関連企業として、ジェイテクト取締役副社長 工作機械・メカトロ事業本部本部長の井坂雅一氏、スイスABB社の日本法人であるABB取締役バイスプレジデント ロボティクス&モーション事業本部 事業本部長の吉田剛氏、スマート工場関連のコンサルティングなどを行うドイツSaleck Consulting社PresidentのAxel H. Saleck氏が登壇し、さまざまな議論を展開した(図)。総合司会は日経テクノロジーオンライン/日経ものづくり記者の高野敦。

ジェイテクトの井坂氏、ABBの吉田氏、Saleck Consulting社のSaleck氏
図 左からジェイテクトの井坂氏、ABBの吉田氏、Saleck Consulting社のSaleck氏
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 まず、ジェイテクトの井坂氏が「どうやってIoT(Internet of Things)を導入すればいいのか、どうやってスマート工場を構築すればいいのかといった質問を多く受ける」と口火を切った。その回答として同社は「つながる」「見える化」「バリュー」「チェーン」という4つの導入ステップを用意し、その一環として工作機械の各種データを収集・蓄積・分析する機能を持つPLC「TOYOPUC-AAA」を2017年春から同社の製品に標準搭載していることを紹介。「データはモノや人から発信される。生産現場はデータの宝庫だ」と語った。

 ABBの吉田氏は「エネルギー革命とインダストリー4.0によって産業界に大きな変革が起きている。実現にはOT(Operational Technology)とIT(Information Technology)の緊密な連携が必要だ」という。この際、他社に対する同社の優位点として「OTに関する多くの知見や経験を持っている」ことを挙げた。具体的な事例として、生産ラインに実装されているロボットを遠隔操作することでロボットのプログラムを修正することや、各ロボットの負荷状況を見ながら最適なメンテナンスを実施することなどを紹介した。さらに「国や既存の産業の枠を超えた協業が成功のカギを握る」とした。

 Saleck氏はスマート工場を実現する上での課題について、[1]OTの世界とITの世界は大きく異なる、[2]相互互換性などを考慮していないIoTプラットフォームが多く存在する、 [3]広く支持されている標準はまだ存在しない、[4]セキュリティーや信頼性を保証することは容易ではない、[5]法的側面の整備が政府レベルで(国際的にも)必要なこと、を挙げた。このうち、例えば[1]については「OTとITの両方に精通したエキスパートになることは不可能。ITでは柔軟性などが求められるが、OTではリアルタイム性などが重視されるといったように、必要となる考え方やスキルが異なるからだ」という。