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「必要な情報は、カルテに眠っている」

 ただし、クリニカルパスでは標準化された医療を実施するため、すべての患者に効果があるわけではない。そのため、「標準化された医療は最低限必要だが、そこにはさらにカスタマイズされた医療も必要となる」。そして、「そのために必要な情報は、カルテに眠っている」と藤田氏は言う。

 しかし、膨大な量のカルテ情報から必要な情報を探し当てるのは、簡単なことではない。また「電子カルテには検索機能がほとんどない」「同様の患者を治療している他の医師の情報を知ることは難しい」といった課題がある。このような課題を解決するため、電子カルテを分析するソリューションとして開発されたのが「MENTAT(メンタット)」だ。

 MENTATは、匿名化された電子カルテを分析し、「治療の難易度」「入院期間・再入院率」「類似患者」などを情報として返してくれるシステム。IBMのコグニティブ・コンピューティング・システム「Watson(ワトソン)」を利用しており、自然言語処理技術によって書き方の異なる生のカルテデータを高精度で分類できる。またこれまでの精神科では、自由記述のテキストデータが膨大過ぎてデータ活用が進まななかったが、それさえもWatsonは短時間での分析を可能としている。

 実際、桶狭間病院では患者数8000人、入院数5600件、カルテ記述数2000万件というデータを解析したところ、悪化を予兆する因子や入院が長期化する因子など、約60個の因子で整理されることが分かったそうだ。これにより「これまでの標準的な医療に加えて、それぞれの患者に対する個別化医療が提供できるようになった」(藤田氏)。さらに、退院後の地域ケアサービスで必要なこと、服薬アドヒアランスの管理、社会保障費の適正化もわかるようなると藤田氏は補足する。

 これはつまり、クリニカルパスで標準化された治療計画を提供するとともに、精神疾患は個別性が高いことから、MENTATを用いることで個別的な対応も可能になるということ。「クリニカルパスとMENTATを組み合わせることで、患者個々に最適な治療計画が達成できる」と藤田氏は考える。

 さらに、将来的には電子@連絡帳を介した地域での情報共有やMENTATの分析結果から、地域移行・連携が円滑に進められるようになる。特に、電子@連絡帳に記載されている情報を電子カルテに追加すれば、その情報もMENTATで分析可能となる。それが患者のさまざまな治療により役立つことは間違いない。このような仕組みによって、「入院期間の短縮や地域連携が実現していく」(藤田氏)ことが期待される。