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デンソー生産革新センターDP-Factory IoT革新室室長の加藤充氏
デンソー生産革新センターDP-Factory IoT革新室室長の加藤充氏
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 「IoT(Internet of Things)を活用するポイントは、適切なデータを人に提供し、改善を促していくことにある」。デンソー生産革新センターDP-Factory IoT革新室室長の加藤充氏は、「FACTORY 2016 Fall」(2016年10月19~21日、東京ビッグサイト)で「人と設備が共創するグローバルなモノづくり」と題して講演し、同社が実現を目指すIoT工場の姿を明らかにした。

 デンソーは、全世界の約130工場をIoTでつなげて、2020年までに生産性を2015年比で30%高めるという目標を掲げている(関連記事)。各工場の状態をリアルタイムで監視し、適切なアクションを素早く取れるようにする。工場同士が相互に学習し、トラブルの発生を未然に防げるようにする。そして、改善のスピードをもっと上げる。それが同社の思い描くIoT工場の姿だ。

 ただし、どれだけIoT化を進めても、主役はあくまで人だと加藤氏は語る。IoTというと、一般には機械やシステムの閉ループ内でデータを回しているものが想定される。だが、それでは人が気付きを得られない。「閉ループ内でデータを回していれば、安定的な生産は実現できるかもしれないが、改善は進まない」(同氏)。IoT化の意義は、人に有益な情報を提供し、気付きを与えることにあるという。閉ループ内でデータを回すだけのM2M(Machine to Machine)ではなく、サイバー空間で得られた分析結果を人に渡すM2H(Machine to Human)こそがIoTの真骨頂なのである。実際、現場の優秀なスタッフは、ほんのわずかなデータから品質や生産性などに影響する「変化」を捉えられると同氏は言う。

 このM2Hをさらに発展させたのが、M2H2M(Machine to Human to Machine)というアプローチだ。人を生かすといっても、人だけでは手が回らないのも事実。特に海外工場の場合、優秀な人材が長く現場で働いてくれるとは限らない。そこで、いわゆる“匠の技”を機械に覚えさせることに取り組んでいる。

 例えば、品質の良否判定を目視から画像検査に置き換えると、目視では良品だったものを画像検査では不良品と判定してしまう「過剰判定」が起きることが多い。そこで、熟練したスタッフが目視で判定している様子をモーションキャプチャーによって“デジタル化”し、詳細に分析したところ、そのときどきの状況に応じて立ち位置を変えるなどの工夫をしていることが分かった。つまり、表面的な作業だけを機械化するのではなく、人の創意工夫も含めて機械化することが理想だという。