個人番号カードによる様々なサービス提供を拡充
続いて登壇した内閣官房社会保障改革担当室、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室内閣参事官の金﨑健太郎氏は、社会保障・税番号制度の進捗状況について述べた。
金﨑氏は、まず個人番号と個人番号カードの利用について、カードの構造を示しながら説明した。個人番号カードの表面には氏名、住所、顔写真の個人情報が明記され、裏面に12桁の個人番号が見えにくい形に処理を施して記される。また、裏面には個人番号カード活用の要となるICチップが添付されているが、その中には2つの電子証明書(署名用電子証明書、利用者証明用電子証明書)が実装されている。
金﨑氏は、「ICチップの中には基本4情報(氏名、住所、性別、年齢)以外の個人情報は入っておらず、個人番号そのものを使うのでなく、電子証明書をサービスに利用するものである」とあらためて強調した。なお、電子証明書の利用は公的個人認証法が改定され、2016年1月より民間事業者でも可能になった。「例えば、金融機関の口座開設、インターネットバンキングの個人特定証明などに拡充されていく」とした。
さらに、ICチップの空き領域があり、市町村・都道府県等の条例、または国の機関あるいは民間事業者も総務大臣の定めるところにより利用可能になる。「市町村で印鑑登録証カードの代わりに使ったりできる。また、2016年4月から国家公務員身分証として利用されることになっている」と、空き領域を使った個人番号カードの利用例を示した。
金﨑氏は、個人番号で情報連携するためのシステム整備を現在進めていることも報告した。個人番号を基に様々な行政機関が個人情報と個人番号をひも付けて管理することになるが、各機関どうしの情報連携のキーにするのは個人番号そのものでなく機関別に割り振られた機関別符合が使われる。連携のために機関別符合の変換を行うのがコアシステムと呼ばれるもので、ほぼ構築が終了し、運用テスト段階にあるという。「2016年7月以降、接続機関は地方公共団体約1700をはじめ、ハローワーク等の国の機関、医療保険者など、3000~4000機関が接続していくことになる」という。
マイナンバー制度のもう1つの要素である「マイナポータル」についても言及した。「どの機関がどのような自分の情報を持っているか、どの機関どうしがやり取りしているか確認できるもので、情報の自己コントロール権を確保している。ポータルサイトにアクセスするために電子証明書が利用される」と説明した。