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保険の資格確認、医療情報連携のカギとなるJPKI

 東京工業大学像情報工学研究所教授の大山永昭氏は、マイナンバー制度で利用される電子証明のインフラであるJPKI(公的個人認証サービス)を中心に説明、どのようなサービス拡大ができるか可能性を示した。

東京工業大学像情報工学研究所教授の大山永昭氏
東京工業大学像情報工学研究所教授の大山永昭氏
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 冒頭、大山氏は、山形県酒田市の日本海総合病院で実施した個人番号カードと同等のカードとインフラを使った医療保険のオンライン資格確認、およびクレジットカード情報と番号カードをひも付けて診療費をクレジット決裁する実証実験の映像を紹介した。このサービスで本人確認のために利用されているのが、JPKIによる認証だ。「PHRや医療情報連携を行うには、言うまでもなく正確な情報のひも付けが必須。不正確なひも付けは年金記録で懲りたはずで、正確な資格確認により生成されるものでなければならない。それには、誰が・いつ・どこでといったエビデンス化が重要になる」とし、そのカギとなるJPKIの重要性を説明した。

 マイナンバー制度では個人番号カードにJPKIのための署名用証明書と利用者証明書が実装されているが、利便性向上からスマートフォン等へ利用者証明書を搭載する要望があり、総務省で検討を始めているという。「利用者証明書は匿名なので、本人を認証する署名用証明書と論理的に結びついて利用される必要がある。そのため、スマートフォン等への利用者証明書搭載は、個人番号カードを持っている人向けのサービスになる。発行側からすると3枚目の証明書を発行することになる」と説明。それに伴い様々な制度変更が必要になるし、秘密鍵をどうやってスマートフォンンの中へ安全に埋め込むか課題が大きいとしてきた。

 大山氏はスマートフォンへの証明書搭載が可能になるなら、さらにJPKI用のチップを搭載した機器、あるいはJPKI対応の運転免許証やHPKIのカードへの証明書搭載も考えられると指摘。「HPKIへの実装などはその普及に役立ち、安全な医療情報を取り扱う仕組みを提供できるが、本当に必要かどうかの議論も含め検討していく必要がある」と述べた。