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最終日の最終セッションに500人の聴衆

 Session 30では、半導体エネルギー研究所が、酸化物半導体トランジスタを用いたメモリーアレーと、そのAIへの応用を提案した(講演番号 30.4)。単極性のみという酸化物半導体の特性を補うためにクロックを用いるダイナミック論理の制御回路を搭載したり、一般的なCMOSプロセスに製造容易性確保のためにプロセスを追加したりする工夫を施した上で、機械学習の学習データ保存など、メモリーの新しい応用を提言した。

 Session 31:Computation in Memory for Machine Learningも、メモリーとテクノロジーディレクションの共同開催セッションである。機械学習における推論演算の基本は、入力値に対して蓄積された重みづけデータの行列を積和演算していくことで入力値の意味を判定するもので、重みづけデータを記憶するメモリーの読み出しと同時にメモリーチップ内部で演算を行うことが理に適っていると思われる。

 このセッションでは、SRAMやRRAMのセルを応用し、メモリーセルの読み出し回路を利用したオンチップの演算機能に関する技術などについて5件の論文発表が行われた。最終日の最終セッションにもかかわらず、最大で500人の聴衆を集めた。この分野についての学会参加者の関心の高さがうかがえる。Q&Aも長蛇の列で時間が足りずにセッションチェアが途中で打ち切り、後に行われるauthor's interviewで続きを議論するように促す場面がみられた。

 今回のISSCC 2018のメモリー分野では特にDRAMにおいて一度限界を迎えつつあるかに見えた微細化、大容量化、さらに高速化の進展がみられたことが印象的である。一方で機械学習などの、more than Mooreやbeyond the Mooreと言われる半導体の微細化、高速化、大容量化の方向性とは異なる新しい領域に向かう研究や技術開発がいよいよ本格化していることが強く感じられた。現時点では大学からの発表が主だが、今後企業からの発表が目立ってくることが予想される。今後のメモリーを含む半導体チップ業界の動向がますます注目される。