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 2016年の「CES」「IFA」と、ソニーのブースデザインについて報告してきたが(CES 2016の記事IFAの記事)、今回のCES(CES 2017)では、これまでの上質路線の延長でありながら、見せ方がまた革新的に変わった。基本的に「オーガニック」(有機素材)を多用したライフスタイルを感じる空間作りのデザインコンセプトであることには変わりはない。他社は、自社の優秀さを知ってもらおうと、できる限り派手な色使いとアグレッシブなデザイン、扇情的なナレーションを用いたブースが多く、見るだけで疲れる。ところが、ソニーブースはまったく違う。まるで家にいるような暖かな感覚と心地良さ、そして提案性、メッセージ性がうまくバランスしているのが、ここ数年のソニーブースの基本的な美質だ。

有機ELテレビの見せ方は段々畑のよう
有機ELテレビの見せ方は段々畑のよう
落ち着いた色使いだ。
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 ところが、今年(2017年)は大きな変化があった。これまでのCESやIFAでは、ソニーブースのアイコンとしてブース上方に大スクリーンが設けられていたが、今回のCESのブースには無かった。昨年(2016年)のCESでは、ブース全体を大スクリーンが円形で囲んでいた。IFAでも巨大な映像スクリーンがブースの上部を貫通していた。ところが今年は湾曲したスクリーンが前方にあるだけ。しかも、表示も派手ではなく、静止画による製品デザインが中心で、動きも音も緩やかだ。これまでは民生機器、ゲーム、エンターテインメント、映画に至る幅広いソニー製品やコンセプト、製品デザインが軽快な音楽に乗ってダイナミックに投映されていた。

今年は全周スクリーンはなく、前方スクリーンのみ
今年は全周スクリーンはなく、前方スクリーンのみ
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 なぜ、円形スクリーンをやめたのか。ソニーのブースデザインを担当する市川和男氏(ソニークリエイティブセンター)は、大変重要な狙いを教えてくれた。

 「ここ数年は確かに、ソニーの守備範囲の広さを円周スクリーンでお見せしていましたが、ここにきてソニーのディメンジョンが変わったと思うのです。最近は新しい領域から、提案性の高い商品も出てきていますし、伝統的なカテゴリーからも魅力的な商品が出てきています。しっかりとものを作っていくフェーズに、ソニーも入ったのではないでしょうか。それらを表現するときは、単に効率的であったり一元的ではなく、これまで以上に、ソニー製品の良さや、背景にあるモノづくりに対する姿勢までを感じていただくために、空間やブースデザインが生かされるべく、我々のイベントに対する考え方が変わってきたということだと思います」。

 これまでと変わって、今回の主役は、ブース正面の有機ELテレビ「A1E」シリーズと大画面で展示された高画質ディスプレー技術の「CLEDIS」だ。「映像に圧倒的な強みを持つことを、A1EシリーズとCLEDISを通して見てもらいたいのです。そこに集中していただくためにも、視覚的に競合してしまう360度スクリーンの採用は取りやめました。その代わりに、A1Eシリーズの特徴的なデザインがただずむ圧倒的な広さを持ったステージを準備して、ブースの中心的な存在にしたのです」。オーガニックデザインは有機(オーガニック)ELに合う。

木組みのオーガニックな構造を見せる(1)
木組みのオーガニックな構造を見せる(1)
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木組みのオーガニックな構造を見せる(2)
木組みのオーガニックな構造を見せる(2)
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