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アニメに登場しない地域も、オリジナルゲームで聖地に

 大洗町はアニメ聖地としてのブランドを4年かけて確立してきた。その背景には地域全体の地道な努力に加え、アニメそのものが大ヒットしたことも大きい。では、強いコンテンツの舞台であることが聖地の必要条件なのだろうか。実は、聖地になれる場所は、アニメの舞台でなくても構わない。そんな可能性を感じさせる例が、東北にある。

 宮城県は、仙台市周辺を舞台にしたアニメ「Wake Up, Girls!(WUG)」による観光促進を進めてきた。このアニメは、7人の少女がアイドルグループとして活躍するストーリーだ。

 宮城県は2016年3月からスマホアプリを使って、このアニメを題材にしたゲームの提供を始めた。ユニークなのは、アニメ本編に登場しない県内の地域もゲームの舞台にした点だ。

 「Wake Up, Girls! Another Real(WUG AR)」と題したこのゲームでは、アニメの舞台ではない松島や秋保、白石などを含めた県内7地域にチェックインポイントを用意。地元の名所や飲食店などでチェックインすると、特典ボイスやキャラのAR画像がもらえる。「もしWUGメンバーがこの地域を訪れたら」というコンセプトでストーリーが作られており、複数の地域でチェックインすることでストーリーが進む。

© Green Leaves / Wake Up, Girls!2製作委員会
© Green Leaves / Wake Up, Girls!2製作委員会
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© Green Leaves / Wake Up, Girls!2製作委員会
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宮城県のご当地グルメを紹介するグルメカード。裏面のQRコードを読み込むと、食いしん坊のキャラクター「片山実波」がそのグルメを紹介してくれる

 「WUG AR」と同時に、ご当地グルメをアピールするため、仙台の牛タンや松島のあなご丼、鳴子の栗だんごなどを紹介する「グルメカード」もイベント舞台の7地域それぞれの観光案内所などで配布した。カード裏面のQRコードをスマホで読み込むと、作品随一の食いしん坊キャラがそのグルメを紹介する特典ボイスがもらえる。

 そもそも宮城県がWUGによる観光促進事業を始めたのは、仙台と直行便が運航する台湾からの観光客誘致拡大による直行便の利用促進が目的だった。

 東北地方では、震災後の風評被害の影響などから、国内の他地域と比較して海外からの観光客数が伸び悩む。そこで宮城県は、台湾にいる日本のアニメファンをターゲットに、WUGの製作委員会と連携した短編アニメの制作、台湾でのアニメイベントへの出展、そして「WUG AR」で遊べる聖地巡礼ツアーの実施などを行った。ツアーではチェックインポイントのうち数カ所を回れるように設定したところ、ツアー後に再び宮城県を訪れた参加者もいたという。