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大規模なアンケート調査結果をもとに、自動車市場の活性化策を考える連載の第3回。今回取り上げるのは、高齢者市場を刺激していく方法である。開発が進む自動運転車を狙いの1つは運動能力の衰えた高齢者の支援にあるが、高齢者自身は自動運転車に身を任せるより、自分の運転を支援する機能の強化を望んでいる。その下の世代の55~64歳のドライバーは、自動運転車はおろか運転支援機能への購買意欲が他の年齢層よりも低い。こうした結果の背景にある人間の心理に配慮して、製品やサービスを作っていくことが重要だ。(日経テクノロジーオンライン編集)

 今回は、これから人口が増える高齢者の市場を盛り上げる手段を考察したい。前々回前回に取り上げたペーパードライバーと同様、自動運転技術の有力なユーザーになりうる層だが、実は高齢者自身が自動運転車を欲しがっているかといえば微妙である。我々が実施した大規模なアンケート調査注1)からは、むしろ自分で運転する手助けをしてほしいという要望が浮かび上がった。

注1)調査結果の詳細は、当社が販売する「人とクルマの調査レポート~ドライバーの行動原理から見えたクルマの今と未来~」を参照(関連サイト)。

自動運転より自動ブレーキ

 図1に、各種の運転支援機能について、それぞれがどんな支援をしてくれるのかの説明をした上で、「ぜひ、利用したい/既に利用している」と答えた回答者の割合を示した。65歳以上の高齢者の回答を見ると、「自動運転車」より「自動ブレーキ」の方が約10ポイントも高い。自分に代わって運転してくれる自動運転車よりも、自分の運転に欠けている点を部分的に支援してくれる機能に対する利用の意欲の方が高いのである。

図1 「自動運転車」より「自動ブレーキ」
図1 「自動運転車」より「自動ブレーキ」
それぞれの機能を「ぜひ、利用したい/既に利用している」と答えた回答者の比率を年齢別で示した。
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 自動ブレーキのほかにも多くの支援機能に対して、高齢ドライバーの利用意欲は他の年齢層と比べて相対的に高かった。例えば「アラウンドビューモニタ」など視界の確保を支援する機能や、「クリアランスソナー」や「パーキングアシスト」など衝突を未然に警告してくれる機能は、約4人に1人の高齢ドライバーが利用したいとしている。また、「ナイトビジョン(夜間の視界確保)」や「ブラインドスポットモニタ(死角の可視化支援)」、「ドライバー疲労検知システム」、「空調の最適化」などは、他の年代と比べて明らかに購買意欲が高い。これらの機能が、視力や注意力、感覚機能の衰えなどの身体機能や認知機能の低下をサポートしてくれるという期待の表れによるものだろう。