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クラウドとデバイスの“境界”に着目

 エッジコンピューティングとは、クラウドとデバイス間の境界(エッジ)にコンピューティングリソースを設置しデータの一部処理を担わせる概念である。クラウドとデバイスの間に1層を加えることで、ネットワークに流れるデータを抑制したり、クラウドの負荷を分散したりできる。結果として、データの輻輳や距離によるネットワークの遅延を抑制できる(図1)。例えば、迅速に処理を行う必要のあるデータはエッジシステムで、少し時間がかかっても高度な分析が必要なデータはクラウドで処理することで、膨大なデータを分散処理し、ネットワークの遅延を低減することができる。

図1 クラウドとデバイスの境界に、コンピューティングリソースを配置し、データの増大や距離による通信遅延を防ぐ
図1 クラウドとデバイスの境界に、コンピューティングリソースを配置し、データの増大や距離による通信遅延を防ぐ
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 ではどのようなシステムでエッジコンピューティングが求められているのか。その一つが、移動通信を使った路車間通信システムである。道路上にある事故車両や障害物をインフラ側が検知し、これを近傍にある車両に通知するシステムだ。こうした情報は、検知後、遅滞なく車両に通知する必要がある。現在の移動通信システムの構成では、クラウドのサーバーに検知情報を送った後、各車両に配信する形態を採るが、これでは間に合わない。移動通信基地局に近い場所に置かれたコンピューターで情報を収集し、ここから近傍にある車両に情報を配信するわけだ。

 逆に、橋の予防保全情報などは、自動運転車ほどのリアルタイム性は求められない。とはいえ、収集するデータは膨大になることから、エッジ側で収集したデータをある程度まで意味のあるデータに加工し、これをクラウドに送付し、そこで詳細な解析をすることでクラウドに流れるデータを最適化しつつ解析精度が担保できる。

 このような、情報種別や特性によるクラウドの階層化や分散化の考え方を実装できるのがエッジコンピューティングである。