PR

汎用ハードウエアの性能向上が背景に

 これまでサーバーにおけるモジュールの利用は、一般的ではなかった。理由はいくつかある。例えば、システムのハードウエア設計に関して、開発者が独自の考えを持っていること。専用システムの開発を正当化するだけのボリュームがあったことも理由の1つだろう。現在、キャリアーネットワークとサーバーファームには、ほとんど同じ設計の多数の専用システムが存在している。

COM/SOMとSBC(Single Board Computer)やフルカスタムを比較。
COM/SOMとSBC(Single Board Computer)やフルカスタムを比較。
congatecの表。
[画像のクリックで拡大表示]

 しかし、最近、汎用ハードウエアの性能が向上したことで、状況が変ってきた。サーバーの仮想化が可能になり、実際のハードウエアよりも高い抽象度のソフトウエアでサーバーの仕様を定義できるようになった。いわゆる、SDN(Software Defined Network)やNFV(Network Functions Virtualization)が登場した。専用のハードウエアが不要になり、ハードウエアは標準化される。具体例が、米Google社や米Facebook社などのサーバーファーム事業者が推し進めるOpen Compute Project(OCP)のようなプロジェクトである。こうしたプロジェクトでは、効率や柔軟性、スケーラビリティーの向上を狙う。

 それらを向上させる鍵を握るのは、ハードウエアのモジュール化である。基本的に、各サーバーモジュールは、どのようなタスクにも対応できる。各モジュールがネットワーク内のどこに配置され、どの程度の性能が必要になるかだけを考えれば良い。サーバーファームを使ったサービスのコスト削減圧力は高まるばかりで、システム開発者やネットワーク事業者、サービスプロバイダーは、順調に性能向上を続けるプロセッサーを利用して、可能な限り簡単かつコスト効率よく、サービスの性能を上げる必要がある。