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「10分後にうんこが出ます」

 「10分後にうんこが出ます」――。排泄のタイミングを予知し、事前に知らせてくれる。そんなウエアラブルデバイス「DFree(ディーフリー)」を手掛けるのが、トリプル・ダブリュー・ジャパン(東京都渋谷区)だ。これまで介護施設などで実証試験を進めてきたが、2017年1月にいよいよ有償でのサービスを開始。実運用が始まった。

DFree(左)とスマホアプリ(右)。DFreeのうち小さく見えるのがセンサー部、その隣が本体部
DFree(左)とスマホアプリ(右)。DFreeのうち小さく見えるのがセンサー部、その隣が本体部
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 DFreeは、手のひらに収まるサイズのウエアラブルデバイス。超音波センサーを内蔵したセンサー部を、専用テープやベルト型装着補助具で下腹部に装着して使う。センサー部で測定したデータをスマートフォンアプリとBluetooth連携させ、排便や排尿までの目安時間を知らせてくれる仕組みだ。重さはBluetoothモジュールを搭載する本体部とセンサー部を合わせて70gほどと軽い。測定したデータはインターネットを介してサーバーに蓄積する。

 2017年1月に製品化したのは、排尿のタイミングを予知できるタイプだ。膀胱内にたまっている尿の量を反映する膀胱の膨らみ具合を超音波で測定し、排尿までの時間を予測する。機械学習の手法を使うことで、装着してから数日から1週間で装着者の排尿パターンをサーバー側で学習し、排尿までの時間をより高精度に予測できるようになる。

 直腸内の便のたまり具合を超音波で測定し、排便のタイミングを予知するタイプの開発も進めており、2017年中に製品化のメドをつけるという。排尿予知タイプに比べて製品化が少し遅れるのは、直腸の位置や便の性質などから、データを安定して取ることが尿に比べて技術的に難しいからだ。

自らの体験から「便漏れゼロ」志す

 DFreeの開発者であるトリプル・ダブリュー・ジャパン 代表取締役の中西敦士氏は、ベンチャー企業やコンサルティング企業、青年海外協力隊を経て、起業を目指し2013年から米国University of California, Berkeley(カリフォルニア大学バークレー校)に留学。その際、路上で腹をこわし大量に便を漏らすという苦い経験をし、それをきっかけに「便漏れゼロ社会」を実現するデバイスの開発に挑むことを決意した(関連記事)。

DFreeを手にするトリプル・ダブリュー・ジャパンの中西氏。2016年11月に初の著作『10分後にうんこが出ます 排泄予知デバイス開発物語』(新潮社)を上梓した
DFreeを手にするトリプル・ダブリュー・ジャパンの中西氏。2016年11月に初の著作『10分後にうんこが出ます 排泄予知デバイス開発物語』(新潮社)を上梓した
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 そこに使えると考えたのが超音波だった。「超音波で胎児が見られるのだから、うんこも見られるはずだと直感した。体内の状態を見る方法にはMRIやX線CTもあるが、非侵襲で小型化もしやすい超音波がベストだろうと考えた。兄が小児科医をしており、小児の便秘症などを話題にしていたことも開発のヒントになった」(中西氏)。

 2014年5月に米国でTriple W(トリプル・ダブリュー)を設立。ハードウエア開発の知見を持つメンバーも加わり、2015年1月に試作機第1号が完成した。同年4月からクラウドファンディングサイトで資金調達を図ったところ、345人の支援者から1200万円を超える資金が集まるほどの反響を呼んだ。

 DFreeの開発当初は「ベンチャーキャピタルの担当者などから、これ誰が買うの?と冷たく言われた」と中西氏は話す。当初から介護という用途を想定していたわけではなかったという。クラウドファンディングなどを通じ、「ぜひこういうデバイスがほしいという切実な声が介護関係者からたくさん届き、介護に大きなニーズがあると気付かされた」(同氏)。

 介護施設では一般に、一定時間おきに高齢者をトイレに連れて行くものの、排泄につながる割合は10%にも満たず、介護業務の効率低下につながっているという。介護施設では「8時間の勤務時間のうちの3時間を排泄介助が占めるとも言われている」(中西氏)。

 中西氏はDFreeのメインターゲットをまずは介護支援に定め、2016年からは介護施設や老人ホームなど約10施設で、計100人ほどの高齢者を対象に実証試験を進めてきた。地方自治体とも連携しており、海外での実証試験も進行中だ。