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保険業界がデジタルヘルスに接近するわけは…

 保険×デジタルヘルスの動きが盛んになってきたのは、なぜか。背景として指摘できるのは、(1)ニーズ、(2)モチベーション、(3)テクノロジーという3つのピースがそろいつつあることだ。

 (1)のニーズとは、少子高齢化や医療費増大を背景に、健康増進を軸とした予防医療の重要性が高まっていること。医療保険や生命保険はこれまで「社会保障制度を補う役割を果たしてきた。医療費増大や健康寿命延伸が叫ばれる中、生涯にわたり健やかに生きることを支援する役割が新たに求められるようになった」。第一生命保険 営業企画部 InsTech推進室 課長の齋藤俊輔氏はこう話す。

実年齢ではなく「健康年齢」で保険料を決定する健康年齢少額短期保険の「健康年齢連動型医療保険」
実年齢ではなく「健康年齢」で保険料を決定する健康年齢少額短期保険の「健康年齢連動型医療保険」
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 (2)のモチベーションとは、価値提供の新しいモデルを生み出したいという意思が、保険業界に強くなってきたこと。具体的には「顧客との距離を近づけ、つながりをより太いものにすることで、顧客へのさまざまなサービス提供を可能にしたい」(明治安田生命保険相互会社 企画部 イノベーション調査室の薄井大輔氏)と考える保険会社が増えてきた。

 冒頭で紹介した第一生命のアプリにもそんな狙いがある。「4万人いる営業職員がセールスに赴く際、『保険に入ってますか?』と問いかけるのでは『もう入ってます』で会話が終わってしまう。『歩いてますか?』といった言葉を掛ける方が、顧客の日常に近づきやすくなる」(第一生命保険 生涯設計教育部 マーケティング開発課/営業企画部 InsTech推進室兼務 次長の由水孝治氏)。

 保険は、加入者の日常に密着した商品のようでいて、実際には保険会社と加入者の接点は、契約時や給付金支払い時に限られてきた。こうした細く弱いつながりの中で、保険料の低さや、いざという時の保障の手厚さといった「単体での商品性を競うビジネスは限界に達している。この延長線上には(利益率の低い過当競争という)“血みどろ”の世界しか待っていない」。メットライフ生命保険 執行役員 経営企画担当の前中康浩氏は、保険業界に漂う危機感をこう説明する。

 そこで各社は、価値提供の新しいモデルを模索し始めた。すなわち「保険商品がメインで、足りないものを付帯サービスで補うという従来のあり方を見直す。加入者が本当に求めているのは健康だという視点に立ち、健康上のリスクを低減するサービスを総合的に提供する立場を目指したい。そのうちの一つに(保険という)金融商品があるという位置づけだ」(メットライフ生命保険 執行役員 コンシューマーマーケティング担当の前田晃弘氏)。