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“軽く”受け止めるのが難しい

 こうした消費者の声が示すものは何か。垣間見えるのは、サービスを提供する事業者側の思いと、消費者の受け止めの間にあるギャップだ。

 遺伝子検査は、体質や健康上のリスクに対する“気付き”を与えるヘルスケアサービス。事業者はそのような立場を取っており、「医療」には該当しないとの位置付けである。そのため、特定の遺伝的要因で発症リスクが高くなることが分かっている、いわゆる遺伝性疾患は対象外としている。生活習慣などが発症に大きく関わる多因子疾患が対象だ。

 一方で、多くの消費者が遺伝子検査という言葉から連想するのは、自らの“運命”を知ること。特に、将来罹患するかもしれない疾患とのかかわりにおいてそれを知ることだろう。

 遺伝的要因よりも生活習慣などの影響が大きい疾患について、その統計学的なリスクを事業者ごとの基準で数値化したものにすぎない――。こうしたある意味での検査結果の“軽さ”を理解することが一般消費者にとっては難しい側面がある。「知りたくないリスク(疾患リスクなど)を知ってしまうこと」を懸念する声が多いことは、これを反映しているだろう。

ジーンクエストの遺伝子解析キット(写真:加藤康)
ジーンクエストの遺伝子解析キット(写真:加藤康)
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 DeNAやヤフーよりも一足早く、2014年1月に一般向けゲノム解析サービスを始めたジーンクエスト 代表取締役の高橋祥子氏は「サービスを始めてみると、“遺伝子ってそもそも何?”という反応が予想以上に多かった。(疾患リスクが遺伝子だけで決まるといった)決定論的な解釈がなされていることに課題を感じている」と話す。

 一方、「検査の内容をどこまで信じていいか判断できない」という声には、解析で明らかになった自分のゲノム情報がブラックボックス化されていることや、事業者ごとに結果がバラつくことなどが影響していそうだ。検査結果がバラつくのは、同じ疾患リスクに対しても解析対象とするSNPや根拠とする論文が事業者ごとに異なることなどが関係しており、事業者の立場からはやむを得ない部分がある。ただしあくまでも利用者目線に立てば、遺伝子検査サービスがしばしば“占い”のようなものだと捉えられてしまうのも無理がない。SNPと疾患リスクの相関に関するエビデンスや、SNPに基づく疾患リスクを消費者に提示することの有用性などについて、否定的な見方をする医療関係者は少なくない。

 「情報提供のあり方が事業者によって玉石混交」(CPIGI理事長の別所氏)なことも、検査の信ぴょう性に疑問を抱かせる要因になっている。DeNAやヤフーが提供しているようなヘルスケアタイプのサービスとは別に、「才能が分かる」といった科学的根拠が非常に乏しいサービスを提供する事業者も存在する。こうした目的特化型サービスは、消費者にとっては分かりやすく、利用意欲をそそりやすい側面もある。「(取次や代理店など)検査自体に関わらない事業者を中心に、業界の健全性を毀損する事業者も存在する」と、前述のCPIGIの調査レポートは指摘している。