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 「入札開始から5分足らずでただの傍観者になりましたよ」。ある大手新電力幹部は苦笑いする。舞台は日本郵便が実施した電力調達に関する入札。大手電力会社が競合を圧倒したという。

 2016年4月の電力小売りの全面自由化を経て、家庭や小規模事業所などの低圧部門(50kW未満)が自由化された。これまで大手電力各社が地域独占の下、電力を供給してきた顧客に、新電力も供給できるようになった。

 全面自由化を契機に、家庭向けのマーケティング合戦が繰り広げられたのは周知の事実。ただし、家庭向けで大幅に顧客数を伸ばしている事業者は限られる。大手ガス会社や通信事業者、生協など、多数の消費者を顧客基盤に抱えている事業者が中心だ。大半の新電力が主戦場と捉えるのは、全面自由化前と同じく、オフィスビルなどの高圧部門。低圧でも、メーンターゲットを家庭ではなく法人拠点にしている新電力は少なくない。

 実際、大手電力会社から新電力への離脱は着実に進んでいる。そして今、大手電力の凄まじい巻き返し策に新電力が音を上げ始めている。特に、東京電力グループの小売部門である東京電力エナジーパートナー(東電EP)と関西電力が法人顧客に提示している価格は、目を疑うほどの安値だ。

 料金メニューが公開されている家庭向けと違い、低圧部門でも法人向けは相対交渉の世界。営業現場で起きている価格競争の実態が語られることは、ほとんどない。だが、その一端は入札案件などから垣間見ることができる。

少し以前の事例になるが、冒頭の日本郵便のケースをご紹介しよう。